国家試験で出題される特殊染色のうち,「脂肪」を対象とした染色について解説します!出題頻度は低めだけど,その分覚えることも少ないからちょっと対策すれば余裕(^^♪
各見出しの重要度は,過去の臨床検査技師国家試験(第52回~最新回まで)の出題率や覚えやすさなどを考慮して主観で表記しています。国家試験を受ける学生以外の方は無視してかまいません。
このページで紹介する染色法
- SudanⅢ染色
- oil red O染色
- Sudan black B染色
- Nile blue染色
脂肪染色の基本事項(重要度:★★★☆☆)
固定
基本はホルマリンを用います。
アルコールを含む固定液(Carnoy液など)や有機溶媒(アセトンなど)は脂肪が溶け出してしまうため使用できません。
包埋と封入
アルコールによる脱水が行えないため,パラフィン包埋は×。代わりに,水溶性包埋剤を用いて凍結包埋します。
同様の理由で一般的な透徹・封入ができないため,封入剤は水溶性のものを用います。
(そのため,永久標本にはなりません)
各標本の作製法の手順の違い
特記事項
脂肪染色に用いる染色液は,全てアルコールに染色粉を加えて溶かしたものを使用します。
また,使用する際は,染色液を使用前に濾過します。
各種脂肪染色(重要度:★★★★☆)
SudanⅢ染色
- 中性脂肪=橙赤色
oil red O染色
- 中性脂肪=赤色
Sudan black B染色
- 中性脂肪・リン脂質・脂肪酸=黒色
Nile blue染色
- 中性脂肪=淡赤色
- リン脂質・脂肪酸=青色
練習問題
問1 脂肪染色で正しいのはどれか。2つ選べ。(第57回臨床検査技師国家試験am54)
1.親水性の封入剤を使用する。
2.固定液は冷アセトンがよい。
3.SudanⅢ液は使用直前に濾過する。
4.Nile blue染色は中性脂肪を黄色に染める。
5.oil red O染色はパラフィン切片で染色できる。
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解答:1・3
1.正しい。アルコールでの脱水ができないため,非水溶性(疎水性)の封入剤を用いた一般的な脱水透徹封入の工程が行えません。そのため,封入剤は水溶性(親水性)のものを用います。
2.誤り。アセトンを使用すると脂肪が溶け出してしまうため使用できません。
3.正しい。
4.誤り。中性脂肪は淡赤色です。
5.誤り。包埋剤はパラフィンなどの非水溶性のものではなく,ゼラチンなどの水溶性のものを用います。
問2 脂肪染色はどれか。2つ選べ。(第58回臨床検査技師国家試験pm53)
1.Grocott染色
2.mucicarmine染色
3.Nile blue染色
4.orcein染色
5.SudanⅢ染色
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