第70回臨床検査技師国家試験解説(AM21~40)

第70回臨床検査技師国家試験(AM21~40)の解説です。

第70回臨技国試のAM問21~40の解説です。
難易度は主観で1~10の10段階でつけています。
1:超簡単
2~3:簡単
4~5:普通
6~7:やや難問
8~9:難問
10:超難問

第70回臨技国試についてをまとめたページもありますので,まだ見ていない方はぜひそちらもご参照ください。

では,解説をどうぞ!
おるてぃ
おるてぃ

問題の出典:厚生労働省ホームページ 第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午前問題(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp240424-07a_01.pdf)

 

臨床生理学(AM16~28)

生理の問16~20は第70回臨床検査技師国家試験解説(AM1~20)を参照してね!
おるてぃ
おるてぃ

AM 問21 

正常な神経細胞の静止膜電位(mV)はどれか。(難易度:9/10)
1.+30
2.0
3.ー50
4.ー70
5.ー100

解答:4

難問。解けなくても特に問題ないでしょう。

1~3・5.誤り。
4.正しい。

 

AM 問22 

手の筋力低下を認める患者における正中神経の運動神経伝導検査の記録を示す。誤っているのはどれか。なお,図中の破線は正常波形を示す。(難易度:5/10)
70am22

出典:厚生労働省ホームページ 第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午前問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp240424-07a_02.pdf)

1.遠位潜時延長
2.伝導速度低下
3.伝導ブロック
4.異常な時間的分散
5.複合筋活動電位振幅低下

解答:1

問題画像より,潜時が正常波形よりも延長しているのは腋窩刺激(=近位部)ですので1が正解です。

運動神経伝導検査については以下の記事を参照。

1.誤り。
2~5.正しい。

 

AM 問23 

健常成人の脳波でみられるα波で正しいのはどれか。(難易度:4/10)
1.開眼で抑制される。
2.振幅は一定である。
3.前頭部に優位である。
4.精神的負荷で増強する。
5.加齢で周波数が高くなる。

解答:1

<脳波の種類>脳波の種類1脳波の種類2

<年齢による脳波の変化>年齢による脳波の変化

1.正しい。これがα波の特徴です。
2~5.誤り。

 

AM 問24 

超音波検査で誤っているのはどれか。(難易度:3/10)
1.周波数1~20MHzの超音波が用いられる。
2.距離分解能は超音波の周波数が高いほどよい。
3.連続波ドプラ法は高速血流の測定に適している。
4.深部の描出は超音波の周波数が高いほど有利になる。
5.方位分解能は電子フォーカスによるビーム集束で向上する。

解答:4

<超音波の基本的性質>超音波の基本的性質1超音波の基本的性質2超音波の基本的性質3超音波の基本的性質4

パルスドプラと連続波ドプラの違いについては66am17を参照。

1~3・5.正しい。
4.誤り。高周波であるほど超音波の減衰が大きくなるため,深部の描出は困難になります。

 

AM 問25 

心尖部長軸断面の連続波ドプラ波形を示す。狭窄前後の最大圧較差はどれか。(難易度:2/10)
70am25

出典:厚生労働省ホームページ 第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午前問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp240424-07a_02.pdf)

1.16mmHg
2.32mmHg
3.64mmHg
4.80mmHg
5.96mmHg

解答:3

簡易ベルヌーイ式を覚えておけば簡単です。式は絶対に覚えておきましょう!

簡易ベルヌーイ式は65am24でまとめてあります。

本問では,画像より最高流速が4m/sであるため,最大圧較差はΔP=4×42=64mmHgとなります。

1・2・4・5.誤り。
3.正しい。

 

AM 問26 

心窩部斜走査による上腹部の超音波像を示す。矢印で示すのはどれか。(難易度:9/10)
70am26

出典:厚生労働省ホームページ 第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午前問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp240424-07a_02.pdf)

1.肝動脈
2.大動脈
3.下大静脈
4.肝外胆管
5.門脈本幹

解答:3

難問。

1・2・4・5.誤り。
3.正しい。

 

AM 問27 

下肢静脈超音波検査で大腿静脈に可動性を有する血栓を認めた。対応で正しいのはどれか。(難易度:8/10)
1.面積狭窄率を求める。
2.ミルキング法で血流を確認する。
3.総腸骨静脈まで血栓範囲を確認する。
4.圧迫法を強く行いながら血流を確認する。
5.パルスドプラ法にて血栓部分の最高流速を測定する。

解答:3

初めて出題されるタイプの難問。答えがわからない以上,選択肢の中で最もよさそうなのを選ぶしかなさそうです。

1・2・4・5.誤り。
3.正しい。

 

AM 問28 

聴覚伝導路でないのはどれか。(難易度:2/10)
1.蝸牛神経核
2.上オリーブ核
3.外側毛帯
4.下丘
5.外側膝状体

解答:5

聴性脳幹反応(ABR)の各波の起源を覚えておけば簡単な問題です。

ABRについては68pm22で解説しています。

1~4.聴覚伝導路である。
5.聴覚伝導路ではない。

 

 

臨床化学(AM29~44)

AM 問29 

水,10mg/dL標準液,血清の終点分析法における反応終了後の吸光度を測定したところそれぞれ0.02,0.30,0.16であった。血清中に含まれる物質の濃度(mg/dL)で正しいのはどれか。(難易度:4/10)
1.5.0
2.5.2
3.5.4
4.5.6
5.5.8

解答:1

計算問題ですが,検量線を理解しておけば特に問題ないです。

水(Blank)と10mg/dL標準液のそれぞれの吸光度から検量線の式を作成します。
吸光度をx,濃度をyとすると,

(x,y)=(0.02,0),(0.30,10)から,傾きをa,検量線を通る点の座標を(p,q)とすると

$y=a(x-p)+q$より

$$y=\frac{10}{0.28}(x-0.02)+0$$

$$y=\frac{250}{7}x-\frac{5}{7}$$

$$y=\frac{5\times (50x-1)}{7}$$

この式に,血清の吸光度x=0.16を代入すると

$$y=\frac{5\times (50\times 0.16-1)}{7}$$

$$y=\frac{5\times (8-1)}{7}$$

$y=5$mg/dLとなりますので,1が正解です。

【別解】

Blankの吸光度をはじめから差し引いてしまいます。
すると,10mg/dLの吸光度は0.30-0.02=0.28となります。

あとは,求めたい血清の濃度をc(mg/dL)として,比で求めます。

c:10=0.16:0.28
28c=160
c=5 mg/dL

Blank補正をしてしまうこちらのほうが簡単かもしれません。

1.正しい。
2~5.誤り。

 

AM 問30 

マグネシウムで正しいのはどれか。(難易度:1/10)
1.EDTA加血漿では低値となる。
2.欠乏すると味覚障害を引き起こす。
3.細胞内液より細胞外液に多く含まれる。
4.血清中では90%がイオン型で存在する。
5.ホスホリパーゼDを用いた酵素法にて測定される。

解答:1

これは簡単なので落としたくないところ。

抗凝固剤による測定値への影響は69am1で解説しています。

1.正しい。
2~5.誤り。

 

AM 問31 

アガロースゲルを用いたリポ蛋白電気泳動で,β位とpreβ位に強い染色像が認められた。WHO脂質異常症タイプ分類で考えられるのはどれか。(難易度:5/10)
1.TypeⅠ
2.TypeⅡa
3.TypeⅡb
4.TypeⅣ
5.TypeⅤ

解答:3

各リポ蛋白と脂質異常症タイプについて知っていないと解けない問題。

<脂質異常症タイプ>脂質異常症

リポ蛋白については以下の記事を参照。

これらの内容より,βおよびpreβに泳動されるリポ蛋白はそれぞれ
VLDLとIDL/LDLです。

脂質異常症のうち,VLDLとIDL/LDLが同時に増加するのはⅡbです。

3.正しい。
1・2・4・5.誤り。

 

AM 問32 

尿素で正しいのはどれか。(難易度:4/10)
1.血中濃度は小児が成人よりも高い。
2.ウリカーゼによって加水分解される。
3.消化管出血により血中濃度が減少する。
4.血中非蛋白性窒素の中で最も濃度が高い。
5.生体内でアルドラーゼによって生成される。

解答:4

1・5.誤り。
2.誤り。ウレアーゼによって分解されます。
3.誤り。消化管出血や腎機能低下で増加します。
4.正しい。

 

AM 問33 

AST活性測定用試薬(日本臨床化学会(JSCC)勧告法)に含まれないのはどれか。(難易度:9/10)
1.NADH
2.オキサロ酢酸
3.L-アスパラギン酸
4.リンゴ酸脱水素酵素
5.2-オキソグルタル酸

解答:2

反応式をしっかり覚えていないと難問。
AST測定に用いられる反応式は以下の通り。

アスパラギン酸+2-オキソグルタル酸 AST グルタミン酸+オキサロ酢酸

オキサロ酢酸+NADH リンゴ酸脱水素酵素 リンゴ酸+NAD

オキサロ酢酸は反応の結果生成されるものであり,試薬に含まれているものではありません。

1・3~5.含まれる。
2.含まれない。

 

AM 問34 

敗血症マーカーはどれか。(難易度:3/10)
1.KL-6
2.シスタチンC
3.プレセプシン
4.アンジオテンシン変換酵素(ACE)
5.N-アセチルグルコサミニダーゼ(NAG)

解答:3

【疾患マーカー】

【機能検査】

1.誤り。間質性肺炎です。
2・5.誤り。腎不全(シスタチンCは糸球体機能・NAGは近位尿細管機能を反映)です。
3.正しい。他にプロカルシトニンがあります。
4.誤り。サルコイドーシスです。

 

AM 問35 

グルコースオキシダーゼ法による血糖測定で利用する酵素はどれか。(難易度:4/10)
1.α-アミラーゼ
2.α-グルコシダーゼ
3.グルコース-6-ホスファターゼ
4.マルターゼ
5.ムタロターゼ

解答:5

.グルコースオキシダーゼ法ではα-D-グルコースに反応できないため,αからβに変換する酵素(=ムタロターゼ)が必要となります。

血糖の基本・HbA1c・血糖測定法に関しては以下の記事を参照。

1~4.誤り。
5.正しい。

 

AM 問36 

血中の半減期が最も長いのはどれか。(難易度:5/10)
1.ALT
2.AST
3.CK
4.LD5
5.α-アミラーゼ

解答:1

半減期はALT>AST,LD1>LD5と軽く覚えておけば最低限は大丈夫です。それ以上のことを問われた場合は潔く諦めるか,半減期を覚えてしまうしかありません。

1.正しい。約40~50時間です。
2.誤り。約5~20時間です。
3.誤り。約12時間です。
4.誤り。約9時間です。(Hサブユニットだけで構成されるLD1だと約79時間。Mサブユニットが増えるほど半減期は短くなり,LD2・LD3・LD4はそれぞれ75時間,31時間,15時間)
5.誤り。約2~4時間です。

 

AM 問37 

ALPで誤っているのはどれか。(難易度:4/10)
1.ALP1は閉塞性黄疸で上昇する。
2.ALP2はABO血液型の影響を受ける。
3.ALP3は小児期に高値を示す。
4.ALP4は妊娠後期に上昇する。
5.ALP5は食事の影響を受ける。

解答:2

ALPについては以下の記事を参照。

2.誤り。
1・3~5.正しい。

 

AM 問38 

ペプチドホルモンはどれか。2つ選べ。(難易度:4/10)
1.アドレナリン
2.アルドステロン
3.カルシトニン
4.サイロキシン
5.副甲状腺ホルモン

解答:3・5

ホルモンの問題。毎年必ず出題されるので,確実に解けるようにしておきましょう!

1・2・4.正しい。
3・5.誤り。

 

AM 問39 

260nmが極大吸収波長であるのはどれか。(難易度:5/10)
1.DNA
2.尿酸
3.ビリルビン
4.ヘモグロビン
5.芳香族アミノ酸

解答:1

260nmはDNAの極大吸収波長です。
また,DNAの純度を示す指標に260/280,260/230などがあります。280は蛋白,特に芳香族アミノ酸の極大吸収波長です。

1.正しい。
2~5.誤り。

 

AM 問40 

グルコースのみで構成される二糖類はどれか。(難易度:5/10)
1.スクロース
2.マルトース
3.ラクトース
4.ガラクトース
5.フルクトース

解答:2

糖については以下の記事で解説しています。

1.誤り。グルコース+フルクトースです。
2.正しい。
3.誤り。グルコース+ガラクトースです。
4・5.誤り。これらは単糖類です。

 

 

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