第69回臨床検査技師国家試験(AM21~40)の解説です。
第69回臨技国試のAM問21~40の解説です。
難易度は主観で1~10の10段階でつけています。
1:超簡単
2~3:簡単
4~5:普通
6~7:やや難問
8~9:難問
10:超難問
第69回臨技国試についてをまとめたページもありますので,まだ見ていない方はぜひそちらもご参照ください。
問題の出典:厚生労働省ホームページ 第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午前問題(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp230524-07a_01.pdf)
臨床生理学(AM16~28)
AM 問21
解答:2・5
超難問。解けなくても特に問題ないでしょう。
呼吸商=単位時間当たりの二酸化炭素排出量/単位時間当たりの酸素消費量(≒酸素摂取量)
1・3・4.誤り。
2・5.正しい。
AM 問22
解答:2・4
選択肢が教科書通りではないのでやや難問。
運動単位=1つの脊髄前角細胞+筋線維群(筋細胞からなる)
2次(下位)運動ニューロン=脊髄前角細胞~神経筋接合部
AM 問23
解答:2
10/20電極法は66pm24でまとめてありますので,そちらをご覧ください。
時定数に関してはこちらの記事をどうぞ。
サンプリング周波数はこちらの記事の「A/D変換」をご覧ください。
1.誤り。脳波計の標準時定数は0.3秒です。
2.正しい。
3.誤り。感度は通常よりも上げる必要があります。
4.誤り。
5.誤り。サンプリング周波数の1/2が最高周波数となりますので,100Hzまでとなります。
AM 問24
解答:3
画像のような波形を取るのはパルスドプラ法と連続波ドプラ法です。これらの違いも出題されるため覚えておきましょう。違いに関しては66am17で解説してあります。
今回は画像から横軸が時間軸であることがわかり,さらに上には測定位置を示すマークがあるため,パルスドプラ法が正解となります。
1.誤り。
2・4.誤り。これらのドプラ法ではBモードに色情報が追加されます。
3.正しい。
5.誤り。パルスドプラ法との違いを間違えないようにしましょう。
AM 問25
解答:4
最近全く出題されていなかったので対策含め難問。
余裕のある人だけ覚えておきましょう。
- 正常・偽正常化パターン
E/A:1~1.5
E波減速時間:200ms前後 - 弛緩障害パターン
E/A:<1.0
E波減速時間:>240ms - 拘束パターン
E/A:>1.5
E波減速時間:<160ms
AM 問26
解答:3
血管は外膜・中膜・内膜の3層構造になっています。
内中膜複合体厚(IMT:intima media thickness)はその名の通り,内膜と中膜の厚さのことを指します。
選択肢のうち,内膜と中膜を表しているのは③になります。
1・2・4・5.誤り。
3.正しい。
AM 問27
解答:5
あまり出題されないため難問。
1~4.誤り。
5.正しい。
AM 問28
解答:4
気導聴力測定では「外耳→鼓膜→耳小骨→内耳」と音が順番に伝わりますが,骨導聴力測定では頭蓋骨から直接内耳に音が伝わります。
臨床化学(AM29~44)
AM 問29
解答:5
消去法というか,HbA1cのことを説明している選択肢がわかれば自ずと答えに辿り着けます。
HbA1cが低値を示す疾患に関しては65am38を参照してください。
1~4.誤り。これらはいずれもHbA1cのことを指します。(HbA1cは6.2%以下を基準値とする文献もあります。6.5%は糖尿病かどうかを判定する基準値です。)
5.正しい。
AM 問30
解答:4
前問(am29)で既に解説をあげていますので,そちらをご覧ください。
1~3・5.誤り。
4.正しい。
AM 問31
解答:4
この問題はよく出ます。必ず解けるようになっておきたいところです。
1・3・5.正しい。
2.正しい。VLDLのことは解説に記述していませんでしたが,4が明らかに誤りなので特に問題ないはずです。
4.誤り。
AM 問32
解答:4・5
Michaelis-Mentenの式および0次反応・1次反応については67pm32を参照してください。
1.誤り。Km値<<[S],つまり[S]が非常に大きいとき,0次反応となります。
2.誤り。初速度法なので,反応の初めのほう,つまり1次反応領域で行います。
3.誤り。小さいほど基質濃度が低くても反応速度が速い=酵素と基質の親和性が大きいと言えます。
4・5.正しい。
AM 問33
解答:2
テタニーを知っているかどうかの問題です。
テタニーはCa2+やMg2+の低下によって起こります。
1・3~5.誤り。
2.正しい。
AM 問34
解答:1
なかなか厄介な問題。
1.誤り。妊娠糖尿病ではインスリンが効きにくい(=インスリン抵抗性が高い)状態となります。
2・4.正しい。これらは上記の問題(AM29)で解説してあります。ここは覚えておきたいところです。
3・5.正しい。
AM 問35
解答:3・5
トリグリセライド=トリアシルグリセロールなので1個はわかると思いますが,もう1個はほぼ勘で解かざるを得ない問題です。解けなくても気にする必要はありません。
1・2・4.誤り。
3・5.正しい。
AM 問36
解答:5
実効線量という単語を聞いたことなければかなりの難問。
単位自体は別ページで解説してあります。
余裕があれば追加で覚えておくと良いでしょう。
1~4.誤り。
5.正しい。
AM 問37
解答:2・3
難問続きだったので,一旦ブレイク。これは絶対に正解しておきたいところ。
1・4・5.誤り
2・3.正しい。
AM 問38
解答:2
計算問題。公式(Lambert-Beerの法則)さえ覚えておけば解けます。あとは高校の時の化学の知識がちょっと必要。
この法則を使った問題は昨年(68pm43)も出題されたので,きっちり復習しておいた人なら解けるはず。
溶液Aの濃度をc[mmol/L]とします。ただし,公式の単位は[mol/L]であること(1[mmol/L]=1/1000[mol/L]),さらに30倍希釈していること(×1/30)を考慮すると公式に用いるのは
$$\frac{c}{1000\times 30}=\frac{c}{3}\times 10^{-4}$$
となります。あとは公式を用いると,
$$0.300=6000\times \frac{c}{3}\times 10^{-4}\times 1.0$$
$$0.300=0.2c$$
$$c=1.5\,\mathrm{[mmol/L]}$$
となります。
2.正しい。
1・3~5.誤り。
AM 問39
解答:4
質量分析を知らないと難問。
1.誤り。イオンが受け取るエネルギー(K)は一定のため,運動エネルギーの公式$K=\frac{1}{2}mv^2$より,分子量(m)の大きい物質ほど速度(v)は小さくなる=遅くなります。
2.誤り。
3.誤り。真空中で測定します。
4.正しい。
5.誤り。直列に接続します。
AM 問40
解答:5
ALPアイソザイムの問題ですが,ややひねりのある問題。
ALPに関しては67pm35で軽くまとめてあります。
1・2.正しい。
3.正しい。67pm35の解説では触れていませんが,高脂肪食でALP5が増加します。
4.正しい。高分子肝型=ALP1です。
5.誤り。解説では取り上げていませんが,実はALP6というのがあります。潰瘍性大腸炎で上昇するALPアイソザイムであり,電気泳動では最も陰極側に検出されます。
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コメント
おるてぃさんのお陰で第70回国試に合格できました!!!本当にありがとうございます!!!!!!!!!
ぷらずまばんばん様
合格おめでとうございます!役になって何よりです!
おるてぃさんのおかげで70回国家試験の合格圏までいけました‼️
本当にありがとうございました♀️♀️
いりゅくりじんV様
コメントありがとうございます。国試本番の自己採点で合格点を取れたとのことでおめでとうございます!
解説がお役に立ったようでこちらとしても嬉しい限りです。
これからも大変だとは思いますが頑張ってください!