第69回臨床検査技師国家試験(AM1~20)の解説です。
第69回臨技国試のAM問1~20の解説です。
難易度は主観で1~10の10段階でつけています。
1:超簡単
2~3:簡単
4~5:普通
6~7:やや難問
8~9:難問
10:超難問
第69回臨技国試についてをまとめたページもありますので,まだ見ていない方はぜひそちらもご参照ください。
問題の出典:厚生労働省ホームページ 第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午前問題(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp230524-07a_01.pdf)
臨床検査総論(AM1~10)
AM 問1
解答:5
今年は初手から変化球の問題。低くなる問題であれば過去に出題されていますが,高くなる問題は初めて。取り敢えず低くなるものは覚えておきたいところです。
低くなるものを覚えておけば今回の問題では2択まで絞れます。後は頭をフル回転させて「血清と血漿で何が違うか」を考えれば何とか答えには辿り着けます。
1・2・4.誤り。2価イオンおよび活性中心にZnを含むALPはEDTAのキレート効果で低値を示します。
3.誤り。
5.正しい。血清と異なり,血漿には凝固因子(フィブリノゲンなど)が含まれています。これらは蛋白成分ですので,TP(総蛋白)は血漿>血清となります。
AM 問2
解答:1
パニック値はたまに出題されます。基準値と合わせて覚えておきたいところです。
AM 問3
解答:4
内部精度管理の方法については以下の記事を参考にしてもらうとして,今回はその結果の読み取りに関する問題です。
画像では低値傾向が読み取れ,トレンド現象が考えられます。後は選択肢の中からトレンド現象を示すものを選べばOKです。
1.誤り。
2・3.誤り。これらはシフト現象の原因です。
4.正しい。
5.誤り。偶発誤差の原因です。
AM 問4
解答:4
尿沈渣の問題です。今回は円柱に関する問題です。
円柱の問題もたまに出題されるので,それぞれの円柱の特徴を押さえておきましょう。
見慣れていないと難しいですが,今回は上皮が含まれているので上皮円柱が正解です。
上皮は画像の通り,細胞1個1個が大きいのが特徴です。
AM 問5
解答:5
人獣共通感染症をきたすものは数がかなり多いので,ここではそうでないものを軽く覚えておきましょう。余裕があれば逆も覚えておくと完璧です。
AM 問6
解答:1
各選択肢の虫卵(条虫卵はいろいろあるので各条虫卵)の形態学的特徴は覚えておく必要がありますが,それプラスαで虫卵検査法も覚えておきたいところです。
虫卵に関しては画像を用意することが難しいので各自で検索してください。
今回の問題は,「直接塗抹標本」ということでほぼ答えに辿り着けます。
1.正しい。
2・4・5.誤り。これらの虫卵は直接塗抹では検査できません。
3.誤り。日本海裂頭条虫やクジラ複殖門条虫では直接塗抹が可能ですが,そもそも虫卵形態が異なります。(さらにこれらの条虫症では虫体が認められることも大きな特徴です)
AM 問7
解答:3・5
コンパニオン検査とは,医薬品の効果や副作用を検査し,予測することを言います。
1・4.誤り。これらはPOCT(point of care testing,選択肢1はOTC検査薬も含む)の特徴です。
2.誤り。
3・5.正しい。
AM 問8
解答:4
通常の出題法よりもやや変化球の問題ですが,冷静に考えれば難しい問題ではありません。
追加の感染予防策が必要=感染力が強い(感染経路が通常と異なる)と考えればOKです。選択肢のうち,感染経路が通常と異なるのは空気感染する帯状疱疹(水痘・帯状疱疹ウイルス)となります。
空気感染を起こす病原体に関しては,N95マスク装着や陰圧個室での管理といった空気予防策が必要となります。
空気感染を起こすものに関してはこちらを参照。
1~3・5.誤り。
4.正しい。
AM 問9
解答:3
問題文を言い換えると,「最も無菌的な材料はどれか」ということになります。選択肢のうち無菌であるものは髄液です。
血液や髄液といった,通常菌が検出されない検体で菌が検出された場合,直ちに医師に報告する必要があります。
なお,問題の趣旨とは多少異なりますが,血液や髄液の汚染菌に関しても覚えておきましょう。こちらも国試に出題されます。
1・2・4・5.誤り。
3.正しい。
AM 問10
解答:3
60pm2・62pm1でも同一問題が出題されているため,必ず対策しておきたい問題です。
これ以外の検査値の変動に関しても同時に対策しておきましょう。
臨床検査医学総論(AM11~15)
AM 問11
解答:5
WPW症候群の問題やそれに合併する疾患に関しては57pm18や64am17で出題されています。
心電図特徴も同時に覚えておきたいですね。
1~4.誤り。
5.正しい。
AM 問12
解答:5
癌抑制遺伝子を覚えておくと同時に対策できます。
1・4.誤り。
2.誤り。APCの変異です。
3.誤り。p53(TP53)の変異です。
5.正しい。
AM 問13
解答:3・4
汎血球減少症もたまに出題されるので,原因となる主な疾患を覚えておきましょう。
1・2・5.誤り。
3・4.正しい。
AM 問14
解答:3・4
電解質の基準値・測定法・変動要因は68am39でまとめてあります。こちらを覚えておくとOKです。
なお,末期の腎不全では尿が排泄できなくなるため体内水分量↑。そのためNaは薄まって濃度↓と覚えておきましょう。(SIADHも同様です)
1・2・5.誤り。
3・4.正しい。
AM 問15
解答:2・3
メタボ診断基準も最近出題されるようになってきました。LDLとHDLが混同しがちですが,間違えずに覚えておきましょう。TGとHDLです。
1・5.誤り。
2・3.正しい。
4.誤り。(私を含めて)本当に混同しがちですので,注意しましょう。
臨床生理学(AM16~28)
AM 問16
解答:2
難問。解けなくても問題ありません。
AM 問17
解答:2
心電図のアーチファクトの問題ですが,それぞれの波形を知らないとなかなか難問。
アーチファクトには主に3種類あります。
- 交流雑音
<波形>50~60Hzの振幅・周波数ともに規則的波形
<対処法>電源を抜く,アースを接続する等 - 筋電図混入
<波形>振幅・周波数ともに不規則な波形
<対処法>緊張をほぐして力を抜いてもらう,部屋の温度を上げる等 - ドリフト
<波形>心電図全体が緩やかに上下する波形
<対処法>(呼吸による場合は)呼吸を静かにしてもらうor止めてもらう
今回は筋電図の混入が原因ですので,それを取り除いてあげればOKです。
AM 問18
解答:1
心雑音は頻度こそ少ないものの,こういう対策しやすい問題が出てきたときに備えて,最低限の知識は頭に入れておきたいところです。
それぞれの心雑音については66am18で解説してあります。
1.正しい。
2~5.誤り。
AM 問19
解答:2
フローボリューム曲線の見方に関しては65am20を参照してもらうとして,あとは1秒率の算出の仕方を知っているかどうかです。
1秒率は努力肺活量に対する1秒量の割合になります。
今回の場合,努力肺活量は約3Lですので,1秒率FEV1.0%は
$$\,\mathrm{FEV}_{1.0}\,\mathrm{\%}=\frac{1.08}{3}\times 100=36$$
よって,これに最も近い35が正解です。
AM 問20
解答:1
1.正しい。
2~5.誤り。
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