第69回臨床検査技師国家試験解説(PM21~40)

第69回臨床検査技師国家試験(PM21~40)の解説です。

第69回臨技国試のPM問21~40の解説です。
難易度は主観で1~10の10段階でつけています。
1:超簡単
2~3:簡単
4~5:普通
6~7:やや難問
8~9:難問
10:超難問

第69回臨技国試についてをまとめたページもありますので,まだ見ていない方はぜひそちらもご参照ください。

では,解説をどうぞ!
おるてぃ
おるてぃ

問題の出典:厚生労働省ホームページ 第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp230524-07b_01.pdf)

 

臨床生理学(PM16~28)

生理の問16~20は第69回臨床検査技師国家試験解説(PM1~20)を参照してね!
おるてぃ
おるてぃ

PM 問21 

機能と部位の組み合わせで誤っているのはどれか。(難易度:4/10)
1.運動=中心後回
2.記憶=海馬
3.言語=Broca野
4.視覚=鳥距溝
5.聴覚=横側頭回

解答:1

脳の機能と部位の問題です。よく出る問題なので解けるようにしたいところ。

<脳の部位と主な役割>

脳の部位と主な役割

<大脳皮質の機能局在>

1.誤り。
2~5.誤り。

 

PM 問22 

脳波を示す。所見はどれか。(難易度:4/10)
69pm22

出典:厚生労働省ホームページ 第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp230524-07b_02.pdf)

1.三相波
2.多棘徐波複合
3.3Hz棘徐波複合
4.周期性同期性放電
5.ヒプスアリスミア

解答:3

脳波名だけでなく,それぞれの波形がどのようなものかを覚えておく必要があります。

画像を見ると,1秒間に約3回(=3Hz)の頻度で棘波と徐波が出ていることがわかります。

69pm22解説

出典:厚生労働省ホームページ 第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp230524-07b_02.pdf)を一部改変

よって,3Hzの棘徐波複合となります。

3.正しい。
1・2・4・5.誤り。

 

PM 問23 

神経伝導検査で評価できる神経線維はどれか。(難易度:6/10)
1.Aα線維
2.Aγ線維
3.Aδ線維
4.B線維
5.C線維

解答:1

神経線維の種類は67pm27で説明しています。

神経伝導検査は運動神経・感覚神経を対象としていますので,これに当てはまるのは表のうちAα線維です。

1.正しい。
2~5.誤り。

 

PM 問24 

超音波検査で深度に応じて受信の感度を変える機能はどれか。(難易度:1/10)
1.γ補正
2.ゲイン
3.フォーカシング
4.ダイナミックレンジ
5.STC(sensitivity time control)

解答:5

過去にも出題されたこともある問題。対策が容易なので必ず正解したいところ。

<超音波装置の設定>

超音波装置の設定

1~4.誤り。
5.正しい。

 

PM 問25 

心エコーの某胸骨左室長軸像を示す。最も考えられるのはどれか。(難易度:5/10)
69pm25

出典:厚生労働省ホームページ 第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp230524-07b_02.pdf)

1.拡張型心筋症
2.拘束型心筋症
3.肥大型心筋症
4.高血圧性心疾患
5.心アミロイドーシス

解答:3

この疾患のエコー像がわからなければ手も足も出ない問題。ただし覚えやすいのが救い。

画像を見てみると,通常よりもかなり心室中隔が厚くなっていることがわかります。

心室中隔の一般的な厚さがどれくらいなのかわからない人は必ず調べてみよう!
おるてぃ
おるてぃ
69pm25解説

出典:厚生労働省ホームページ 第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp230524-07b_02.pdf)を改変

この像を呈するのは肥大型心筋症ですので,3が正解です。

1・2・4・5.誤り。
3.正しい。

 

PM 問26 

右上腹部超音波像を示す。最も考えられるのはどれか。(難易度:3/10)
69pm26

出典:厚生労働省ホームページ 第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp230524-07b_02.pdf)

1.肝嚢胞
2.肝膿瘍
3.肝血管腫
4.肝細胞癌
5.転移性肝癌

解答:1

腹部超音波像の所見と疾患の組み合わせは66am24でまとめてありますので,まずはこちらを全力で覚えましょう!

また,超音波検査におけるアーチファクトも覚えておく必要があります。

この知識をもとに,実際の画像を見ていきます。

画像では後方エコー増強と側方陰影が映し出されており,内部無エコーであることから,嚢胞が最も考えられます。

69pm26解説

出典:厚生労働省ホームページ 第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp230524-07b_02.pdf)を改変

1.正しい。
2~5.誤り。

 

PM 問27 

医療用MRI検査で使用するのはどれか。2つ選べ。(難易度:4/10)
1.微小気泡
2.テクネチウム
3.硫酸バリウム
4.ガドリニウム製剤
5.超常磁性酸化鉄製剤(SPIO)

解答:4・5

56am28や60am28でも類似問題が出題されています。そこまで難しい問題ではないため,できれば対策しておきたい問題です。

1.誤り。超音波検査で用いられます。
2.誤り。RI(核医学)検査で用いられます。
3.誤り。X線検査で用いられます。
4・5.正しい。

 

PM 問28 

熱画像検査(サーモグラフィ)で高温相を示すことが多い病態はどれか。(難易度:6/10)
1.動脈瘤
2.皮膚潰瘍
3.リンパ浮腫
4.Raynaud現象
5.閉塞性動脈硬化症

解答:1

サーモグラフィはあまり出題されないので,余裕のない人はスルーで。余裕があれば以下も覚えておきましょう。

  • 高温相
    • 炎症
    • 血流が増加している部分(動脈・静脈瘤など)
      など
  • 低温相
    • 血管の狭窄・閉塞
    • Raynaud現象
      など

1.正しい。
2~5.誤り。

 

 

臨床化学(PM29~44)

PM 問29 

ステロイド骨格を持つのはどれか。(難易度:3/10)
1.アドレナリン
2.アルドステロン
3.インスリン
4.オキシトシン
5.ガストリン

解答:2

ホルモンの問題は毎年必ず(それも複数問!)出題されます。対策は確実に!

ホルモンは対策していればほぼ確実に点数が取れるから絶対に気を抜かないように!!
おるてぃ
おるてぃ

2.正しい。
1.誤り。アミノ酸誘導体ホルモンに分類されます。
3~5.誤り。ペプチドホルモンに分類されます。

 

PM 問30 

BNPについて誤っているのはどれか。(難易度:6/10)
1.血清で測定する。
2.心室で合成される。
3.腎不全で増加する。
4.環状構造部分を持つ。
5.Na+再吸収を抑制する。

解答:1

実際に採血管を見たことがあれば簡単ですが,そうでなければ正解を選択するのは難しい問題。消去法でなんとか正解に辿り着くしかなさそうです。

BNPに関しては上記のホルモンの記事に載せてあります。

1.誤り。測定にはEDTA加血漿を用います。検査室で働いていて採血管を見たことがあれば即選べますが,実習レベルだとそれは厳しい……。
2・3・5.正しい。これらは消去法で消せます。(表には利尿作用と書いてありますが,これがNa+再吸収阻害のことです)
4.正しい。ただこれを知らなければ1との一騎打ちで丁半博打。

 

PM 問31 

尿酸について誤っているのはどれか。(難易度:2/10)※不敵問題。答えが2つある。
1.還元力がある。
2.基準範囲に性差がある。
3.尿塩酸は組織に沈着する。
4.ヘモグロビンの最終代謝産物である。
5.血中の飽和溶解濃度は7mg/dL程度である。

解答:3 or 4

こちらは前問とは真逆で,正解の選択肢をパッと選べるかどうかです。ただし,不敵問題なので答えが2つあります。即選びたい選択肢は4ですが・・・。

1・2・5.正しい。
3.誤り。
4.誤り。尿酸はプリン体の最終代謝産物です。プリン体の多く入った食品やアルコール(ビール等)をよく摂取する人ほど痛風になりやすいのはこの尿酸が関連しています。

 

PM 問32 

非抱合ビリルビンについて正しいのはどれか。(難易度:4/10)
1.腸肝循環する。
2.尿中に排泄される。
3.ジアゾ試薬と直接反応する。
4.血中でアルブミンと結合する。
5.グロブリンと結合しδ-ビリルビンが生成される。

解答:4

ビリルビンはほぼ毎年出題される頻出の項目です。必ず対策しておくように!

1.誤り。
2.誤り。非水溶性なので尿中に排泄されません。
3.誤り。間接ビリルビンという別名があるとおり,直接反応できず,反応促進剤存在下でジアゾ試薬と反応できます。
4.正しい。
5.誤り。δ-ビリルビンはアルブミンと共有結合した直接ビリルビンのことです。

 

PM 問33 

酵素反応で過酸化水素を発生しないのはどれか。(難易度:10/10)
1.グルコースオキシダーゼ
2.サルコシンオキシダーゼ
3.アシルCoAオキシダーゼ
4.グリセロールオキシダーゼ
5.アスコルビン酸オキシダーゼ

解答:5

超難問。解けなくても問題ないでしょう。

1~4.誤り。
5.正しい。

 

PM 問34 

カルシウムについて正しいのはどれか。2つ選べ。(難易度:4/10)
1.EDTA加血漿では高値となる。
2.生理活性があるのはイオン型である。
3.アシドーシスではイオン型の割合が増加する。
4.血清中ではトランスフェリンと結合している。
5.細胞内液に最も多く含まれる陽イオンである。

解答:2・3

カルシウムの基本的な問題。

<カルシウム(Ca)>

カルシウム

抗凝固剤と変動する検査項目については以下を参照。

1.誤り。Caは2価イオンなので,EDTAによってキレートされて低値を示します。
2・3.正しい。
4.誤り。アルブミンと結合しています。トランスフェリンと結合しているのはFeです。
5.誤り。細胞内液に最も多いのはKです。

 

PM 問35 

ポルフィリン環を含むのはどれか。2つ選べ。(難易度:8/10)
1.ヘム
2.ビタミンB12
3.アラキドン酸
4.クレアチニン
5.ヒドロキシ酪酸

解答:1・2

難問。1に関しては69am67で解説してありますので選べますが,もう1つは知っていなければ正解することは難しいです。

1・2.正しい。
3~5.誤り。

 

PM 問36 

Michaelis-Mentenの式に伴う酵素反応で,反応速度がVmaxの75%となる基質濃度はKmの何倍か。ただし,Vmaxは最大反応速度,KmはMichaelis定数とする。(難易度:4/10)
1.0.5
2.1
3.2
4.3
5.5

解答:4

特にひねりのない計算問題。この手の問題はよく出るので確実に1点取りたいところ。
Michaelis-Mentenの式は67pm32を参照。この公式は絶対に覚えておきましょう。

今回求める基質濃度を$S$(mol/L)とすると,反応速度$v$はVmaxの75%とされているので,Michaelis-Mentenの式より

$$0.75Vmax=\frac{Vmax・[S]}{Km+[S]}$$

$$0.75(Km+[S])=[S]$$

$$0.25[S]=0.75Km$$

$$[S]=3Km$$

これより,基質濃度はKmの3倍となるため,4が正解です。

公式さえ覚えていれば,計算自体は中学数学レベル!
おるてぃ
おるてぃ

1・2・5.誤り。
3・4.正しい。

 

PM 問37 

鉄代謝で正しいのはどれか。(難易度:4/10)
1.血清鉄は朝低い。
2.食事による摂取では小腸で吸収される。
3.血清ではセルロプラスミンと結合している。
4.ヘモグロビンと結合しているのは3価の鉄である。
5.鉄欠乏性貧血では不飽和鉄結合能(UIBC)が低下する。

解答:2

ヘモグロビンに関しては以下の記事を参照。

鉄欠乏性貧血などの小球性低色素性貧血については以下を参照。

1.誤り。
2.正しい。食事などで摂取された鉄は3価鉄であり,胃酸と還元剤によって2価に還元し,十二指腸や空腸で吸収されます。
3.誤り。セルロプラスミンは銅と結合します。鉄を輸送するのはトランスフェリンです。
4.誤り。ヘモグロビンに含まれる鉄は2価鉄です。
5.誤り。UIBC↑・血清Fe↓。

 

PM 問38 

コレステロールの含有率が最も高いのはどれか。(難易度:5/10)
1.HDL
2.IDL
3.LDL
4.VLDL
5.カイロミクロン

解答:3

66am40でリポ蛋白をまとめていますので,こちらを全力で覚えておきましょう!

3.正しい。
1・2・4・5.誤り。

 

PM 問39 

血中半減期が最も短いのはどれか。(難易度:3/10)
1.IgM
2.アルブミン
3.トランスフェリン
4.トランスサイレチン
5.レチノール結合蛋白

解答:5

たまに出題される蛋白半減期の問題。覚えること自体は少ないのでサクッと覚えておきたいところ。

<蛋白半減期とRTP>

蛋白半減期とRTP

1~4.誤り。
5.正しい。

 

PM 問40 

血中(1→3)-β-D-グルカンが高値となるのはどれか。(難易度:3/10)
1.ムコール症
2.溶連菌感染症
3.アスペルギルス症
4.リケッチア感染症
5.新型コロナウイルス感染症

解答:3

疾患マーカーについては67am13を参照。

グルカンは真菌症で増加しますので3が正解です。
※ムコールはグルカンの上昇が認められない点に注意!

1・2・4・5.誤り。
3.正しい。

 

 

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