第67回臨床検査技師国家試験(AM1~20)の解説です。
【更新履歴】
2022.10.3
・問13の解説(疾患マーカー)を更新しました。
2023.1.10
・問8の解説(空気感染)を一部更新しました。
2024.9.7
・問13の解説(疾患マーカー)を更新しました。
第67回臨技国試のAM問1~20の解説です。
難易度は主観で1~10の10段階でつけています。
1:超簡単
2~3:簡単
4~5:普通
6~7:やや難問
8~9:難問
10:超難問
第67回臨技国試についてをまとめたページもありますので,まだ見ていない方はぜひそちらもご参照ください。
問題の出典:厚生労働省ホームページ 第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午前問題(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp210416-07a_01.pdf)
臨床検査総論(AM1~10)
AM 問1
解答:2
66回でもそうでしたが,今年度も初手から超難問。
ほぼ英語の問題のようなもので,日本語訳してあとはフィーリングで解くしかなさそう。
1.誤り。直訳すればacute(急性の)physiology(生理学)chronic(慢性の)health(健康)evaluation(評価)。ICUの重症度を客観的に評価する方法。
2.正しい。直訳すればdiagnosis(診断)procedure(手順)combination(組み合わせ)。日本語訳は包括評価制度。問題文に示された通りの意味。
3.誤り。直訳すればgood(よい)clinical(臨床)practice(慣例)。臨床試験を行う際に遵守する必要のある基準。
4.誤り。直訳すればstandard(標準)operation(作業)procedure(手順)。直訳通り,業務の作業や手順をまとめたもの。
5.誤り。直訳すればtotal(全体の)quality(質)control(管理)。直訳通り,会社等で全社的に品質管理を行うこと。
AM 問2
解答:3
過去問頻出問題。確実に正解したい問題です。
なお,問題文では「影響が小さい」と書かれているので,読み間違えないように!
アスコルビン酸で偽陰性とならないものと言い換えられれば問題なし。
- 糖
- 潜血
- ビリルビン
- 亜硝酸塩
AM 問3
解答:2
1.誤り。鉄を対象とした染色です。
2.正しい。いわゆるペルオキシダーゼ染色であり,白血球のペルオキシダーゼを染め出すため,鑑別ができるようになります。
3.誤り。髄液細胞数算定・分類で用いられる染色です。
4.誤り。血液細胞を対象とした染色です。
5.誤り。脂肪を対象とした染色です。
AM 問4
解答:2・4
便の問題。今年度は過去問でも出題された便の特徴の問題なので正解するのは容易いです。
AM 問5
解答:3
サイズは小さいもの2つ(肝吸虫卵・横川吸虫卵)を覚えておけばOKです。
1・2・4・5.誤り。
3.正しい。
AM 問6
解答:4
画像はマラリアの輪状体です。あとはマラリアについて知っているかどうかです。
1.誤り。抗マラリア薬での治療が必要になります。
2.誤り。メフロキンやアトバコン・プログアニル合剤などがあります。(覚えなくて大丈夫です)
3.誤り。マラリアはハマダラカによって媒介されます。ツェツェバエが媒介するのはトリパノソーマです。
4.正しい。
5.誤り。マラリアは原虫であり,細菌ではありません。
AM 問7
解答:2
採血中の合併症で考えられるのは血管迷走神経反射です。
【原因】
緊張や恐怖感,ストレスなど
【症状】
・脈拍低下(徐脈)
・血圧低下
・顔面蒼白
・悪心,嘔吐
・意識消失 など
※症状が出たら採血を中止し,頭を低くして安静にする。
1・3・4・5.正しい。
2.誤り。若い人にも多く起こるため高齢者に多いとは言い切れません。
AM 問8
解答:1・2
頻出の超基礎問題。確実に1点取れる問題です。
- 結核(Mycobacterium tuberculosis)
- 麻疹(麻疹ウイルス:Measles virus)
- 水痘(水痘帯状疱疹ウイルス:varicella zoster virus)
1・2.正しい。
3~5.誤り。
AM 問9
解答:3
やや難しめの問題のようにも感じますが,実は61pm12にほぼ同一問題が出題されており,この問題を覚えておけば簡単に正解できます。
※61pm12は不適問題で,正解が2つあるためこの問題の問題文・正解と合致します。
AM 問10
解答:1
バイオハザードマークの問題もよく出ます。色と対応する廃棄物も必ず覚えておきましょう。
1.正しい。
2.誤り。赤色に廃棄します。
3.誤り。赤色に廃棄します。
4.誤り。橙色に廃棄します。
5.誤り。橙色に廃棄します。
臨床検査医学総論(AM11~15)
AM 問11
解答:4
BLSの問題はこの分野定番の問題です。大体3年に1回は出題されるので,出題された時に確実に正解できるように対策しておきたいところです。
ただ,難しく考えずとも,医療関係者でない人(一般人)でもできるようなもの=BLSと覚えておけば問題ありません。
1~3・5.含まれる。
4.含まれない。静脈路確保は針を刺す行為であるため,医療関係者しか行えません。
AM 問12
解答:4
以前よりも女性の子宮頸癌とHPVワクチンの重要性が訴えられるようになったため,正解するのはそこまで難しくありません。
HPV以外のウイルスが引き起こす疾患も同時に覚えておきましょう。
AM 問13
解答:2・5
過去にも同一問題・類似問題が出題されていたため,正解できるようになっておきたいところです。
1.誤り。非小細胞性肺癌の腫瘍マーカーです。
2・5.正しい。
3.誤り。肺小細胞癌の腫瘍マーカーです。
4.誤り。膵癌や乳癌などの腫瘍マーカーです。
AM 問14
解答:2
前問に解説があるのでそちらを参照。この問題自体も頻出です。
1・3~5.誤り。いずれも心筋梗塞のマーカーです。
2.正しい。
AM 問15
解答:1
66pm20で疾患と,増減する検査項目についてまとめてありますのでそちらをご参照ください。
臨床生理学(AM16~28)
AM 問16
解答:3
心電図の基準値はよく出題されるので確実に覚えておきたいです。異常値を示す疾患も覚えておきたいところ。
1・2・4・5.誤り。
3.正しい。QRS幅の基準値は0.06~0.10秒です。
AM 問17
解答:5
正常洞調律の特徴は確実に覚えておきましょう。そうするとこの心電図が読み解けます。
- P波
必ず出現。
上向き:Ⅰ・Ⅱ・aVF・V4~V6
下向き:aVR - PQ・QRS波
それぞれ基準値内。 - P-P間隔,R-R間隔
整 - 心拍数
60~100bpm
今回の問題の心電図では,四肢誘導のaVRのP波が上向きであり,ⅠのP波が下向きということが正常洞調律と異なります。胸部誘導には特に異常が見られません。
このことから,四肢誘導の電極の付け間違いを疑いたいところです。正確には左手と右手の電極の付け間違いでしょう。
1.誤り。右胸心であればV1→V6に行くにしたがって電位が低下します。本問では胸部誘導に異常は見られないため考えにくいです。
2~4.誤り。
5.正しい。
AM 問18
解答:1・4
運動負荷心電図は65am18でも解説してありますので,そちらもご参照ください。
1.正しい。不安定狭心症や急性心筋梗塞,重症大動脈弁疾患に罹患している患者に対して運動負荷を行うと,重篤な結果を招く可能性が高いため,運動負荷試験は禁忌。
2.誤り。体重を使うのはMasterの2階段試験です。年齢,性別,体重から負荷量を求めます。
3.誤り。誘導方法はMason-Likar誘導法です。
4.正しい。
5.誤り。3分ごとに負荷量を増加させます。
AM 問19
解答:3
心エコーでは大動脈→左室への逆流が認められることから,大動脈弁閉鎖不全症(AR)が考えられます。後は,ARで発生する雑音を知っているかどうかです。
心雑音については66am18でまとめてあります。
1・2・4・5.誤り。
3.正しい。
AM 問20
解答:2
急な物理の問題。公式を問う問題のため,知っていればすぐに解け,知らなければ全く解けないという両極端な問題です。
ボイル・シャルルの法則は,気体の圧力Pは体積Vに反比例し,絶対温度Tに比例するという法則のため,式で表すとP=R・1/V・Tとなります。変形するとR=P・V/Tとなるため,2が答えとなります。
1・3・4・5.誤り。
2.正しい。
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