第66回臨床検査技師国家試験(PM1~20)の解説です。
第66回臨技国試のPM問1~20の解説です。
難易度は主観で1~10の10段階でつけています。
1:超簡単
2~3:簡単
4~5:普通
6~7:やや難問
8~9:難問
10:超難問
第66回臨技国試についてをまとめたページもありますので,まだ見ていない方はぜひそちらもご参照ください。
問題の出典:厚生労働省ホームページ 第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp200414-07b_01.pdf)
臨床検査総論(PM1~10)
PM 問1
解答:4
午後問題の初手から超難問。解けなくても構いません。
1~3・5.誤り。
4.正しい。
PM 問2
解答:3・5
核酸の純度は260nmでの吸光度(A260)を280nmでの吸光度(A280)で除したもの(A260/A280)で評価できます。1.8~2.0であれば高い純度であると言えます。
なお,260nmというのは核酸の吸収極大,280nmというのは蛋白質の吸収極大です。
3・5.正しい。
1・2・4.誤り。
PM 問3
解答:1
昨年に続きまたもや分染法の問題。正直対策したくなかったのですが,2年連続で出題されてはしょうがないので適当に表でまとめておきました。
余裕のある人は勉強してください。
1.正しい。
2~5.誤り。
PM 問4
解答:2・5
セロファンテープ法と聞いただけで,すぐに蟯虫を思い浮かべることは可能。画像でも柿の種状の虫卵が写っています。
問題はその対処法。これは知らないと結構難しいです。
・種類:線虫
・感染経路:幼虫形成卵(幼虫が卵殻内に存在する虫卵)の経口感染
・中間宿主:なし
・終宿主:ヒト
・検査材料:セロファンテープ肛囲検査
・症状:無症状(寄生数が多い場合は肛囲周辺の掻痒感,下痢,腹痛など)
1.誤り。検査するならセロファンテープ法が確実です。
2.正しい。メベンダゾールなどの駆虫薬を用います。
3.誤り。ワクチンは効果がありません。
4.誤り。蟯虫は経口感染であり,ベクターを必要としないため蚊の駆除は不適切です。
5.正しい。虫卵は高温に弱く,日光で感染力を失わせることができます。また,掃除機をかけたりするのも有効です。
PM 問5
解答:2
1.正しい。なお,ヒトは中間宿主になります。
2.誤り。細胞内で増殖します。
3.正しい。
4.正しい。経胎盤感染の代表的なものです。必ず覚えておきましょう。
5.正しい。
PM 問6
解答:3
65pm5を対策していれば簡単ですね。65pm5の表は必ず覚えておきたいところです。
1.誤り。ヒトスジシマカやネッタイシマカなどが媒介します。
2.誤り。ハマダラカが媒介します。
3.正しい。マダニが媒介します。
4.誤り。媒介動物(ベクター)は存在しません。
5.誤り。サシチョウバエが媒介します。
PM 問7
解答:1
今年の総論問題の中では最も簡単な問題。ぜひとも正解しておきたいところです。
【常染色体優性遺伝疾患】
「女優がリングでファンの家族に顔面パンチ」
・女優:常染色体優性遺伝
・リング:von Recklinghausen病
・ファン:Marfan症候群
・家族:家族性大腸ポリポーシス・家族性高コレステロール血症
・顔面:顔面肩甲上腕型筋ジストロフィ
・パンチ:Huntington病
+von Willebrand病・遺伝性球状赤血球症
【常染色体劣性遺伝疾患】
代表的なものだけ覚えておけばよい。
・~尿症
・Wilson病
・赤血球系疾患(鎌状赤血球症・サラセミアetc…)
・糖原病
【伴性劣性遺伝疾患(X連鎖劣性遺伝疾患)】
「ジローがファブリーズで蒸れないまんじゅうを滅菌。景色はスコットランド?」
・ジロー:G6PD欠損症
・ファブリーズ:Fabry病
・蒸:X連鎖無-γグロブリン血症
・れない:Lesh-Nyhan症候群
・まん:慢性肉芽腫症
・じゅう:重症複合免疫不全症
・滅:Menkes病
・菌:筋ジストロフィ
・景:血友病
・色:赤緑色覚異常
・は:Hunter症候群
・スコットランド:Wiskott-Aldrich症候群
1.正しい。
2・3・5.誤り。常染色体劣性遺伝疾患です。
4.誤り。常染色体優性遺伝疾患です。
PM 問8
解答:3
【染色体検査】
主にG分染法が用いられる。
細胞を分裂中期で停止させて分染させる。
染色体検査に用いる試薬等は以下の通り。
- 抗凝固剤(末梢血リンパ球を培養する場合):ヘパリン
- 環境:クリーンベンチ内で行う。
37℃・5%CO2条件下で培養する。 - 培養細胞:末梢血リンパ球・骨髄細胞など
- 細胞分裂促進剤:phytohemagglutinin(PHA)
- 細胞分裂阻害剤:colcemid or colchicine
- 細胞剥離液:tripsin
- 染色体分散液:低張塩化カリウム(KCl)溶液
- 細胞固定液:酢酸+メタノール
1・2・4・5.誤り。
3.正しい。
PM 問9
解答:2
画像ではビリルビン結晶が見られていますので,肝胆道系疾患であることが推察できます。よって答えは2となります。
画像自体は66am3でも解説しています。
1・3~5.誤り。
2.正しい。
PM 問10
解答:2
微量アルブミンを測定することで,糖尿病性腎症を早期発見することができます。
1・3~5.誤り。
2.正しい。
臨床検査医学総論(PM11~15)
PM 問11
解答:1
常識問題ですね。辛口ですが,これが解けなかったらちょっとは焦ったほうがいいです。
1.正しい。
2.誤り。細胞外で最も多いイオンです。
3.誤り。
4.誤り。
5.誤り。
PM 問12
解答:4
染色体検査の結果で診断可能ということは,染色体数に異常があるということです。
65pm14でも解説してありますが,これさえ覚えておけば正解できます。
1~3・5.誤り。
4.正しい。
PM 問13
解答:3・4
【症状】
- 甲状腺機能亢進
- Merseburg3徴
- 眼球突出
- 甲状腺腫
- 頻脈
【自己抗体】
- 抗TSH受容体抗体(TRAb)
※特異的 - 抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体
- 抗甲状腺マイクロゾーム抗体
【検査所見】
- 基準値より↑
- T3
- T4
- TRAb
- ALP
- 基準値より↓
- TSH
- CK
- 総コレステロール
1.誤り。自己免疫疾患は女性に多いとされています。Basedow病もしかりです。
2.誤り。頻脈です。
3・4.正しい。
5.誤り。低値です。
PM 問14
解答:1・3
難問。解けなくても問題ありません。
1.正しい。
2.誤り。血圧が上昇することはありますが,低下することはありません。
3.正しい。初期は無症状であることが多く,検尿等で血尿を指摘されることが多いとされています。
4.誤り。メサンギウム領域に沈着します。
5.誤り。ゆっくりと進行し,徐々に腎機能が低下します。
PM 問15
解答:5
過去問で何度も出題されている問題ですが,心電図に変化が見られない弁膜症・ASD(心房中隔欠損症)・VSD(心室中隔欠損症)・PDA(動脈管開存症)・心筋症・大動脈瘤などはHolter心電図が診断に有用ではありません(心エコーなどのほうが有用です)。
過去問→56am18・59pm19・61pm18
臨床生理学(PM16~28)
PM 問16
解答:5
心エコーの問題。最低でも長軸・短軸(大動脈弁レベル)・心尖部四腔の3つはマスターしておきましょう!
【長軸像】
- 左房・左室・右室
※右房は観察不可! - 僧帽弁
※三尖弁は観察不可! - 大動脈・大動脈弁
- 心室中隔
※心房中隔は観察不可! - 左室後壁
【短軸像-大動脈弁レベル】
- 左房・右房・右室
※左室は観察不可! - 三尖弁
※僧帽弁は観察不可! - 肺動脈・肺動脈弁
- 大動脈弁
- 心房中隔
※心室中隔は観察不可!
【心尖部四腔像】
- 左房・左室・右房・右室
- 三尖弁・僧帽弁
- 心室中隔・心房中隔
PM 問17
解答:5
房室ブロックの定義も確実に覚えておきましょう。
- 第1度房室ブロック
- PQ時間↑(≧0.21s)
- 第2度房室ブロック
- QRS波の脱落
- 脱落前のPQ時間に応じてWenckebach型とMobitzⅡ型に分類
- Wenckebach型第2度房室ブロック
- PQ時間が漸増した後にQRS波が脱落
- 脱落後は短いPQ時間で回復
- MobitzⅡ型第2度房室ブロック
- PQ時間が漸増せずにQRS波が脱落
- 第3度房室ブロック(完全房室ブロック)
- P波とQRS波が独立した関係となる
(P波の後にQRS波が来ないことがある) - P-P間隔とR-R間隔は一定
- P波とQRS波が独立した関係となる
画像ではP波の後にQRS波が出現しておらず,P波とQRS波が独立して存在していることから,第3度房室ブロックが最も考えられます。
赤線:R-R間隔・青線:P-P間隔
PM 問18
解答:2
A-aDO2(肺胞気動脈血酸素分圧較差)の計算式と,A-aDO2が開大する原因は覚えておきましょう。
式から,A-aDO2=150-88-40/0.8=62-50=12Torrとなります。
1・3~5.誤り。
2.正しい。
PM 問19
解答:2
難問。解けなくても気にする必要はありません。
1・3~5.誤り。
2.正しい。簡易型では眼電図は記録しません。
PM 問20
解答:5
肺線維症は拘束性換気障害になります。拘束性換気障害では1秒率は基本的に低下しないので,5が誤りになります。
1~4.誤り。これらの検査値は基本的に低下します。
5.正しい。
コメント
はじめまして( ¨̮⋆)
おるてぃさんのサイトのおかげで、67回の国試で自己採点ですが合格点に達しました!
本当にありがとうございます!!
国家試験お疲れさまでした。
合格点達成おめでとうございます!自己採点で120超えていればほぼ間違いなく合格だと思います。
お役に立てて本当に良かったです!これからもいろいろ大変だとは思いますが頑張ってください。応援しています!