第67回臨床検査技師国家試験(AM21~40)の解説です。
第67回臨技国試のAM問21~40の解説です。
難易度は主観で1~10の10段階でつけています。
1:超簡単
2~3:簡単
4~5:普通
6~7:やや難問
8~9:難問
10:超難問
第67回臨技国試についてをまとめたページもありますので,まだ見ていない方はぜひそちらもご参照ください。
問題の出典:厚生労働省ホームページ 第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午前問題(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp210416-07a_01.pdf)
臨床生理学(AM16~28)
AM 問21
解答:1
フローボリューム曲線自体は65pm21に解説を載せてあります。
一般的な形とやや異なりますが,上記の解説記事にも書いてある通り,平坦な部分が出現していることから,気管狭窄(気道閉塞)が考えられます。
なお,余談ですが,65pm21のEの画像と全く同じ画像が今回用いられています。過去問をきちんと対策していれば余裕で解ける問題でした。
1.正しい。
2~5.誤り。
AM 問22
解答:1・5
65pm20でもまとめてありますが,ガス希釈法で測定できる項目は機能的残気量(FRC)です。
つまり,この問題を言い換えると,「スパイロメトリで測定できない項目はどれか」ということになります。65回,66回の解説でも言っておりますが,スパイロメトリでは残気量を含む肺気量分画は測定できません!
よって,残気量を含む1・5が正解となります。
1・5.正しい。
2~4.誤り。いずれもスパイロメトリで測定できるため,機能的残気量を求める必要はありません。
AM 問23
解答:3
選択肢の中で,マウスピースだけが口腔内に入れるため,それによる感染の危険性が最も高いです。よって,ウイルス等を殺菌できない低水準消毒薬は適切ではないと言えます。
1・2・4・5.適切。
3.不適。上述の通り。
AM 問24
解答:1
1.正しい。音響陰影は骨や結石などの超音波を強く反射する物質によって,それより深くに超音波が届かずに黒い影となる現象です。虚像とは関係ないのでこれが答えとなります。
2.誤り。多重反射とは繰り返し超音波の反射が起きることによって線状・層状に虚像のアーチファクトが出現する現象です。コメットエコー(コメットサイン)もこの1つです。
3.誤り。腹直筋によって超音波の屈折が起こり,大動脈などが虚像として表示される現象です。
4.誤り。サイドローブからの超音波の反射を受信して,虚像として表示される現象です。
5.誤り。横隔膜付近で起こる現象です。横隔膜を挟んだ向かい側に虚像が描出されます。
AM 問25
解答:5
肝臓と腎臓がそれぞれ表示されており,そのコントラストが明瞭となっているため,5が正解です。なお,疾患としては脂肪肝が考えられます。
脂肪肝の超音波所見や,肝腎コントラスト増強は頻出なので必ず覚えておきましょう!
AM 問26
解答:4・5
難聴やオージオグラムを読み解く問題はたまに出題されます。出題頻度は高くないものの,対策自体は容易なので余裕があれば対策しておきたいところ。
<難聴の種類>
※耳硬化症は混合性難聴の形をとることもある。
オージオグラムの出典:厚生労働省ホームページ 第111回医師国家試験の問題および正答について I問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp170425-01i_01a.pdf)
1~3.誤り。いずれも伝音性難聴です。
4・5.正しい。
AM 問27
解答:3
難問。反回神経は迷走神経から分岐した神経になります。これを知っているか否かです。
「嗅いで見る 動く車の3つの外 顔聴く舌で 迷う副舌」
嗅いで:嗅神経(Ⅰ)
見る:視神経(Ⅱ)
動く:動眼神経(Ⅲ)
車:滑車神経(Ⅳ)
3つ:三叉神経(Ⅴ)
外:外転神経(Ⅵ)
顔:顔面神経(Ⅶ)
聴く:内耳神経(Ⅷ)
舌で:舌咽神経(Ⅸ)
迷う:迷走神経(Ⅹ)
副:副神経(Ⅺ)
舌:舌下神経(Ⅻ)
1・2・4・5.誤り。
3.正しい。
AM 問28
解答:1
この手の問題は結構出題されるので領域名と,大脳の場所の関係は必ず覚えておきましょう。
1.正しい。
2.誤り。中心後回です。
3.誤り。前頭葉です。
4.誤り。後頭葉です。
5.誤り。
臨床化学(AM29~44)
AM 問29
解答:1
過去問を復習しておけば確実に1点取れる問題です。
臨床化学は難問揃いのため,こういった基礎的な問題で点数を落とさないように!
1.正しい。輸血・出血・脾機能亢進・溶血の4つは最低でも覚えておきましょう。
2.誤り。過去2か月間です。
3.誤り。過去2週間です。
4.誤り。低値を示します。
5.誤り。過去数日です。
AM 問30
解答:1
難問。乳酸のことをきちんと知っておけば簡単に解けますが……。
1.誤り。肝臓には乳酸代謝経路が存在し,ここで代謝されるため,肝機能が低下すると乳酸は増加します。
2・3.正しい。特に解糖系の嫌気的代謝によってグリコーゲンを乳酸にしてエネルギーを得ます。そのため,低酸素血症ではより嫌気的代謝が進み,乳酸が増加します。
4.正しい。
5.正しい。以下の記事も参考にしてください。
AM 問31
解答:2・5
この問題とは直接関係ありませんが,β酸化の問題も意外と出題されるのでこの問題と併せて対策しておきたいところ。
以下の3つがある。
- アセトン
- アセト酢酸
- β-ヒドロキシ酪酸(3-ヒドロキシ酪酸)
脳においては,糖だけでなくケトン体もエネルギー源となるため,糖利用障害となると脂肪酸β酸化を亢進させてアセチルCoAを大量産生し,そこからケトン体を生成する。
そのため,糖利用障害疾患である糖尿病や飢餓状態ではβ酸化亢進によりケトアシドーシスを起こすこともある。
なお,脂肪酸β酸化はミトコンドリアで行われる。
1・3・4.誤り。
2・5.正しい。
AM 問32
解答:5
ビタミンの欠乏症は頻出の問題なので確実に正解できるようになっておきたいところです。
1~4.正しい。
5.誤り。脚気はビタミンB1の欠乏症です。
AM 問33
解答:3・5
「ヘキソ」とは「6」のこと。ヘキソキナーゼは6炭糖を分解する酵素のことです。
この問題を言い換えると,「6炭糖はどれか。2つ選べ。」ということになります。したがって,主な6炭糖を覚えておけば簡単です。
1・2・4.誤り。5炭糖です。
3・5.正しい。6炭糖です。
AM 問34
解答:4・5
なかなかな難問。解けなくても大丈夫ですが,1・2が間違いであることは押さえておきたいところです。余裕のある人はそれ以外も押さえておくといいでしょう。
1.誤り。ソマトスタチンは視床下部・膵Langerhans島D細胞から分泌され,グルカゴン・インスリンの分泌をそれぞれ抑制します。
2.誤り。2型糖尿病に代表されるインスリン抵抗性は,インスリンの量が十分にあるものの,その効果(血中のグルコースを細胞内に取り込む作用)が低下した状態をいいます。分泌量が低下した状態ではありません。
3.誤り。インスリンはその前駆体であるプロインスリンが膵Langerhans島B細胞から分泌される直前に分解されて生じます。その時にC-ペプチドも生成され,その比は1:1です。
(プロインスリン→インスリン+C-ペプチド)
4.正しい。
5.正しい。インクレチンとはインスリンの分泌を促進するホルモンであり,GLP-1とGIPがあります。また,DPP-4はそのインクレチンを分解する作用があります。そのため,2型糖尿病患者の薬物療法では,そのDPP-4の働きを抑制する薬(DPP-4阻害薬)が用いられることもあります。
AM 問35
解答:5
鉄と銅の輸送蛋白だけは確実に覚えておきましょう!
1.誤り。トランスフェリンです。トランスフェリンと結合した鉄を血清鉄,鉄が結合していないトランスフェリンをUIBCといい,両者を足し合わせたものをTIBCといいます。
また,TIBC中の血清鉄の割合をトランスフェリン飽和度(鉄飽和度,TSAT)といいます。
2.誤り。セルロプラスミンです。Wilson病ではセルロプラスミンが低値を示します。
3.誤り。アルブミンやグロブリンです。
4.誤り。50%がイオン型,40%がアルブミンと結合しています。
5.正しい。
AM 問36
解答:4
過去問頻出の超基礎的問題。是が非でも得点しておきたい問題です。
※過去には54am81,56am82,62am85の3回出題。
【急性期蛋白】
急性期蛋白は炎症時に肝臓から産生される量が増加する蛋白である。
炎症性サイトカインであるIL-1・IL-6・TNF-αなどが作用する。
様々な種類があるが,多すぎるので覚える必要性はあまりない。
- α1-アンチトリプシン(α1)
- α1-アンチキモトリプシン(α1)
- α1-酸性糖蛋白(α1)
- 血清アミロイドA蛋白(SAA)(α1)
- ハプトグロビン(α2)
- セルロプラスミン(α2)
- CRP(γ)
- CRP(γ)
- C3(β)
- C4(β)
- フィブリノゲン(β)
※C3・C4・フィブリノゲンは病態によっては消費で減少する場合もある。
【炎症で減少する蛋白】
急性期蛋白とは逆に,炎症時によって減少する蛋白も存在する。
国家試験的にはこちらを全力で覚えたい!
- アルブミン(Alb)
- トランスサイレチン(プレアルブミン)(Pre-Alb)
- トランスフェリン(β)
各蛋白分画に関しては65pm86でも解説してありますので,そちらも適宜ご参照ください。
1~3・5.誤り。
4.正しい。
AM 問37
解答:3
57am39でもほぼ同一の問題が出題されており,66am37でもビリルビンについて解説してありますので,この問題も絶対に正解しておきたい問題。
1・2・4・5.誤り。
3.正しい。
AM 問38
解答:3
カリウムが選択肢にないので超難問。2番目に多いのはリン酸イオン(HPO42-)です。
1・2・4・5.誤り。
3.正しい。
AM 問39
解答:1・4
リポ蛋白の構造については66am40で解説してあります。
内部がトリグリセリド+コレステロールエステル,外側(表面部)が遊離型コレステロール+リン脂質であることを覚えていれば,4は確実に選べますが,問題は1を選べるかどうかです。
レシチンはグリセロリン脂質の1つで,リン脂質のため,もう1つは1となります。
1・4.正しい。
2.誤り。
3・5.誤り。どちらもリポ蛋白の内部に存在します。
AM 問40
解答:3
リポ蛋白の分類も66am40で解説してありますので,こちらをきちんと勉強していれば得点できます。
IDLはVLDLとLDLの中間に位置するので。3が正解となります。
1・2・4・5.誤り。
3.正しい。
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