第69回臨床検査技師国家試験(AM81~100)の解説です。
第69回臨技国試のAM問81~100の解説です。
難易度は主観で1~10の10段階でつけています。
1:超簡単
2~3:簡単
4~5:普通
6~7:やや難問
8~9:難問
10:超難問
第69回臨技国試についてをまとめたページもありますので,まだ見ていない方はぜひそちらもご参照ください。
問題の出典:厚生労働省ホームページ 第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午前問題(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp230524-07a_01.pdf)
臨床免疫学(AM79~89)
AM 問81
解答:5
まあまあの難問。
間接凝集反応とは,ラテックスやゼラチン,赤血球などを担体(キャリア)とした凝集反応です。
1~4.誤り。
5.正しい。Donath-Landsteiner抗体の検出にはDonath-Landsteiner試験を行います。これは溶血反応(赤血球に対する抗体(溶血素)と赤血球とを反応させた感作血球を補体と反応させると,補体の作用により溶血する反応)です。
AM 問82
解答:1
抗核抗体の問題。抗核抗体についてをきちんと覚えていれば大した問題ではありません。
画像では微細顆粒が均一に出現していることからcentromere型(descrete speckled型)とわかります。後は選択肢からcentromere型を取る抗核抗体が出現する疾患を選ぶだけです。
1.正しい。
2・4.誤り。speckled型です。
3.誤り。homogeneous型です。
5.誤り。peripheral型です。
AM 問83
解答:4
自己免疫疾患と自己抗体の組み合わせの問題もよく出ます。表を必ず覚えておきたいところです。
1.誤り。抗アセチルコリン受容体抗体が検出されます。
2.誤り。抗サイログロブリン抗体(TgAb)などが検出されます。
3.誤り。抗糸球体基底膜抗体が検出されます。
4.正しい。
5.誤り。抗血小板抗体(PA-IgG)が検出されます。
AM 問84
解答:4
超難問。
1~3・5.正しい。
4.誤り。DNAを分離する方法です。
AM 問85
解答:3
特に難しく考えずとも解ける問題です。
不規則抗体が産生される条件として,「受血者が抗原を持っていない+供血者が抗原を持っている」ことが挙げられます。
今回の問題を見ると,受血者が持っていない抗原は
- C
- e
- Jkb
- Fyb
- Dia
の5種類になります。このうち,供血者が持っている抗原はeを除く4種類,つまり
- C
- Jkb
- Fyb
- Dia
となります。
これら4種類が不規則抗体産生の可能性がある抗原となりますので,3が正解となります。
1・2・4・5.誤り。
3.正しい。
AM 問86
解答:2
緊急で血液型検査を行う猶予がない場合,A抗原・B抗原のいずれも持たないO型赤血球製剤を使用します。基本的にO型赤血球製剤であれば,O型のみならずA型・B型・AB型のいずれにも輸血可能であるからです。(なお,日本人でのRhD陰性の頻度は約0.5%と低いため,O型RhD陽性赤血球製剤が使用されています)
2.正しい。
1~3・5.誤り。
AM 問87
解答:1
気圧が輸血検査に及ぼす影響は殆どないため,選択肢のうち1が最も必要性が低いです。
1.正しい。
2~5.誤り。
AM 問88
解答:4
取り敢えず以下2つの記事を覚えておきましょう。
【ABO血液型,Rh血液型基礎】
【オモテウラ不一致】
1・2.正しい。
3.正しい。生後2~4年で成人のレベルに達します。
4.誤り。IgMの産生は出生後からです。
5.正しい。細菌感染によってN-アセチルガラクトサミンの抗原性が変化することで起こります。
AM 問89
解答:2・3
サイトカインについてはよく出ますので,産生細胞・炎症/抗炎症・細胞性/体液性と言った内容は覚えておきましょう。
公衆衛生学(AM90~94)
AM 問90
解答:2・3
表示義務がある特定原材料は,以前は7種類でしたが,2023年(令和5年)3月9日の改正に伴い「くるみ」が追加されました。
- えび
- かに
- 小麦
- そば
- 卵
- 乳
- 落花生
- くるみ(追加)
「たらこ肉返そ!」
た:卵
ら:落花生
こ:小麦(米と間違えないように)
に:乳
く:くるみ
か:かに
え:えび
そ:そば
AM 問91
解答:4
精神保健に関連する入院の問題。忘れた頃にたまーに出題されます。
1~3・5.誤り。
4.正しい。
AM 問92
解答:4・5
1.誤り。各都道府県が策定します。
2.誤り。各市町村が行います。
3.誤り。各都道府県知事が交付します。
4・5.正しい。
AM 問93
解答:5
超難問。20%の確率で正解できるので,勘で正解できたらラッキーぐらいの気持ちで。解けなくても全く気にする必要はありません!
入院時の食事代や差額ベッド代,予防接種,保険適用外の治療費や手術代,高度先進医療費などはすべて給付対象外です。
1~4.含まれる。
5.含まれない。
AM 問94
解答:3
この問題は過去にも何度か出題されており,対策も容易なので必ず覚えておきたいところ。
水質基準項目で検出されてはならないものは大腸菌のみです。
1・2・4・5.誤り。
3.正しい。
医用工学概論(AM95~100)
AM 問95
解答:2
よくある電流・電圧・電力の問題。
電力を求める公式については以下の記事を参照。
また,オームの法則についてはこちらを参照。
100Ωのときの消費電力が100Wであったことから,
$$P=EI\,\mathrm{ および }E=IR\,\mathrm{より}$$
$$P=\frac{E^2}{R}$$
※P:電力,E:電圧,I:電流,R:抵抗
それぞれの値を代入すると,装置の電圧は
$$100=\frac{E^2}{100}$$
$$E=100\,\mathrm{V}$$
となります。
装置の「電圧」は抵抗値が100Ωから200Ωに変更しても不変であることから,抵抗値200Ωのときの電力P’は
$$P’=\frac{E^2}{R}=\frac{10000}{200}=50\,\mathrm{W}$$
となります。よって2が正解です。
装置電圧をE(V),抵抗値をR(Ω),抵抗値変化前の電力をP(W),抵抗値変化後の電力をP’(W)とすると,電圧の変化はないため
$$P=\frac{E^2}{R}$$
$$P’=\frac{E^2}{2R}=\frac{1}{2}\times \frac{E^2}{R}$$
となります。よって,P’をPを用いて表すと
$$P’=\frac{1}{2}P$$
となります。
元の電力P=100Wであることから,P’=50Wとなります。
文字のままでも大丈夫な人なら,計算が少ない分こちらのほうが楽かもしれません。
AM 問96
解答:4
たまに出題される問題ですが,表を覚えておけば難なく正解できます。
1・3・5.誤り。
2.誤り。クラス分類は装着部の型(B 型装着部)とは関係なく,電気安全性における接地に基づいています。
4.正しい。
AM 問97
解答:3・5
拡張子の問題。
コンピュータが得意な人にはもはや解説不要の問題ですが,それ以外の人は拡張子自体がかなりあるため覚えるのも一苦労。
1・4.誤り。
2.誤り。表には載せていませんが,これも動画ファイルの拡張子です。
3・5.正しい。
AM 問98
解答:2
昨年に引き続き今年も類似問題が出題。よく出る医学関連用語の略号は66pm99でまとめてありますので,各略号がどのようなことを表しているかはすべて覚えておきましょう!
2.正しい。
1・3~5.誤り。
AM 問99
解答:2
65pm22でも少し解説してありますが,生体内の臓器・組織は(骨や空気を多く含む骨を除き)ほぼ1500m/s前後です。
よって,2が正解です。
2.正しい。
1・3~5.誤り。
AM 問100
解答:1・2
毎年ほぼ確実に出題されるトランスデューサの問題です。
ゴロで対応可能なため,確実に覚えて1点を回収したいですね。こういう問題を落とすのは勿体ないです。
1.正しい。温度→抵抗です。
2.正しい。変位→抵抗です。
3.誤り。温度→起電力です。
4.誤り。光→起電力/電流です。
5.誤り。磁場→起電力です。
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