第69回臨床検査技師国家試験解説(AM41~60)

第69回臨床検査技師国家試験(AM41~60)の解説です。

第69回臨技国試のAM問41~60の解説です。
難易度は主観で1~10の10段階でつけています。
1:超簡単
2~3:簡単
4~5:普通
6~7:やや難問
8~9:難問
10:超難問

第69回臨技国試についてをまとめたページもありますので,まだ見ていない方はぜひそちらもご参照ください。

では,解説をどうぞ!
おるてぃ
おるてぃ

問題の出典:厚生労働省ホームページ 第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午前問題(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp230524-07a_01.pdf)

 

臨床化学(AM29~44)

臨床化学の問29~40は第69回臨床検査技師国家試験解説(AM21~40)を参照してね!
おるてぃ
おるてぃ

AM 問41 

二重の構造膜を有するのはどれか。2つ選べ。(難易度:8/10)
1.核
2.ゴルジ体
3.リソソーム
4.ミトコンドリア
5.ペルオキシソーム

解答:1・4

なかなか難問。

1・4.正しい。
2・3・5.誤り。

 

AM 問42 

血中LD/AST比が1のとき,最も考えられるのはどれか。(難易度:8/10)
1.白血病
2.急性肝炎
3.心筋梗塞
4.多発性筋炎
5.溶血性貧血

解答:2

こちらも厄介な難問。

1.誤り。白血病や悪性腫瘍ではLD/AST比は高くなります(約50以上)。
2.正しい。肝炎ではLD/AST比は低くなります。(約5以下)
3.誤り。心筋梗塞ではLD/AST比はやや高くなります。(約5~10)
4.誤り。筋疾患ではLD/AST比はやや高くなります。(約15)
5.誤り。溶血性貧血ではLD/AST比は高くなります。(約50)

 

AM 問43 

欠乏すると巨赤芽球性貧血を引き起こすのはどれか。2つ選べ。(難易度:1/10)
1.葉酸
2.ビタミンB6
3.ビタミンB12
4.ビタミンC
5.ビタミンK

解答:1・3

ビタミンの問題および貧血の問題ですが,内容は超基礎的。ここは確実に点数を取りたいところ。

ビタミンに関しては65pm38で解説してあります。この表は暗記したいところです。

1・3.正しい。因みに,「ビタミンB12欠乏=悪性貧血」と覚えている人もいるとは思いますが,厳密には「抗内因子抗体や抗壁細胞抗体によって,ビタミンB12の吸収に関わる内因子が相対的に減少し,結果的にビタミンB12欠乏に陥る貧血」を悪性貧血と言います。
2・4・5.誤り。

 

AM 問44 

ビタミンB6の誘導体を補酵素とするのはどれか。(難易度:3/10)
1.ALP
2.AMY
3.AST
4.LD
5.γ-GT

解答:3

こちらもビタミンの表を覚えておけば解ける良心的な問題です。
参考記事は前問を参照。

1・2・4・5.誤り。
3.正しい。

 

 

病理組織細胞学(AM45~58)

AM 問45 

子宮頸部擦過細胞診のPapanicolaou染色標本を示す。Bethesdaシステムによる判定はどれか。(難易度:5/10)
69am45

出典:厚生労働省ホームページ 第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp230524-07a_02.pdf)

1.NILM
2.LSIL
3.HSIL
4.Squamous cell carcinoma
5.Adenocarcinoma

解答:3

以前はclassⅠ~Ⅴの分類が用いられていましたが,現在ではBethesdaシステムが用いられています。今年も2題出題されているので,簡単に覚えておきましょう。

<Bethesdaシステム>
Bethesdaシステム

あとは異形成と上皮内癌,扁平上皮癌の細胞像を押さえておきましょう。

問題画像では上皮内癌(CIS)が出現していますので,HSILが正解です。

1・2・4・5.誤り。
3.正しい。

 

AM 問46 

病理解剖の目的として正しいのはどれか。2つ選べ。(難易度:4/10)
1.人体の正常な構造を明らかにすること。
2.犯罪との関係が疑われる死体を調べること。
3.災害で亡くなった人の死因を明らかにすること。
4.生前に行われた治療の効果を明らかにすること。
5.病気で亡くなった人の死因を明らかにすること。

解答:4・5

系統解剖・病理解剖・司法解剖・行政解剖の目的は覚えておきましょう。
今回はこの1問ですべての解剖の目的を覚えることができるので,そういう意味でも勉強になる問題です。

1.誤り。これは系統解剖です。
2.誤り。これは司法解剖です。
3.誤り。これは行政解剖です。
4・5.正しい。

 

AM 問47 

H-E染色標本とパラフィンブロックの肉眼写真を示す。H-E染色標本に見られる問題の原因はどれか。(難易度:4/10)
69am47

出典:厚生労働省ホームページ 第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp230524-07a_02.pdf)

1.ホルマリン固定不足
2.パラフィン浸透不足
3.薄切の面出し不足
4.切片の伸展不足
5.染色時の切片剥離

解答:3

AのH-E染色像を見ると,一部が白く抜けています。
脂肪滴や脂肪組織等があるとアルコールに溶けて白く抜けることが多いですが,今回ではBの画像を見るとAの白い部分と同じようにパラフィンが覆っていることがわかります。

つまり,薄切段階において組織がしっかり表に出ていないためにH-E染色で抜けていることになります。よって,正解は面出し不足です。

1・2・4・5.誤り。
3.正しい。

 

AM 問48 

気管支の特殊染色標本を示す。染色法はどれか。(難易度:4/10)
69am48

出典:厚生労働省ホームページ 第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp230524-07a_02.pdf)

1.Nile blue染色
2.Berlin blue染色
3.Alcian blue染色
4.Victoria blue染色
5.toluidine blue染色

解答:3

青染色の問題。
それぞれの染色の目的を覚えておく必要があります。

染色については個別記事がありますので,そちらを全力で暗記しましょう!

因みに,気管支の染色では主に軟骨基質(酸性粘液多糖類)を対象とします。画像下部の青く染まっている部分がそれです。

1・2・4.誤り。それぞれ対象とする物質が異なります。
3.正しい。
5.誤り。対象は酸性粘液多糖類ですが,メタクロマジー(異染性)によって赤紫色に染まります。

 

AM 問49 

甲状腺濾胞細胞で産生されるのはどれか。(難易度:4/10)
1.カルシトニン
2.パラトルモン
3.ソマトスタチン
4.サイログロブリン
5.甲状腺刺激ホルモン

解答:4

ホルモンの問題は毎年ほぼ必ず出題されます。対策は確実に!

1・2・5.誤り。
3・4.正しい。

 

AM 問50 

平滑筋で構成されるのはどれか。(難易度:4/10)
1.心筋
2.舌筋
3.横隔膜
4.表情筋
5.子宮筋層

解答:5

<筋肉の種類>
筋肉の種類

1.誤り。心筋で構成されます。
2~4.誤り。骨格筋で構成されます。
5.正しい。

 

AM 問51 

血栓の誘引となりにくいのはどれか。(難易度:3/10)
1.喫煙
2.悪性腫瘍
3.心房細動
4.脂質異常症
5.ビタミンK欠乏

解答:5

ビタミンK欠乏では凝固因子産生低下により出血傾向となります。

1~4.誤り。
5.正しい。

 

AM 問52 

我が国における肺の悪性腫瘍のうち最も頻度が高いのはどれか。(難易度:5/10)
1.腺癌
2.小細胞癌
3.大細胞癌
4.扁平上皮癌
5.悪性中皮腫

解答:1

<肺癌の種類>
肺癌の種類

1.正しい。
2~5.誤り。

 

AM 問53 

遺伝子解析の際に推奨される脱灰液はどれか。(難易度:3/10)
1.3%塩酸水溶液
2.5%硝酸水溶液
3.5%トリクロロ酢酸水溶液
4.エチレンジアミン四酢酸(EDTA)液
5.プランク・リクロ(Plank-Rychlo)液

解答:4

脱灰については67am54で解説しています。

組織へのダメージが少ないこと,抗原性の保持がよいことなどから,EDTAがベストです。

1~3・5.誤り。
4.正しい。

 

AM 問54 

細胞診検査材料のうち,最も低速遠心で集細胞法を行うのはどれか。(難易度:7/10)
1.尿
2.胸水
3.膵液
4.髄液
5.胆汁

解答:4

細胞診をしっかり勉強していないと難しい問題。

集細胞法では基本的に2000~3000rpmで3~5分遠心しますが,細胞成分が壊れやすい髄液ではそれよりも低速(700~900rpm程度)で遠心します。

4.正しい。
1~3・5.誤り。

 

AM 問55 

急性炎症で特徴的に見られる現象はどれか。2つ選べ。(難易度:6/10)
1.好中球浸潤
2.リンパ球浸潤
3.血漿成分の滲出
4.組織構築の改変
5.線維芽細胞の増殖

解答:1・3

<急性炎症と慢性炎症>
急性炎症と慢性炎症

1・3.正しい。
2・4・5.誤り。これらは慢性炎症の特徴です。

 

AM 問56 

静脈血が流れているのはどれか。2つ選べ。(難易度:5/10)
1.大動脈
2.肺動脈
3.臍帯動脈
4.気管支動脈
5.総腸骨動脈

解答:2・3

動脈のうち,肺動脈と臍帯動脈のみ静脈血が流れます。(逆に「臍帯静脈」は名前は静脈ですが,動脈血が流れます)

なお,臍帯動脈は2本存在しますが,臍帯静脈は1本のみです。この問題も過去に出題されていますので合わせて覚えておきましょう。

1・4・5.誤り。
2・3.正しい。

 

AM 問57 

H-E染色のエオジン液に加えるのはどれか。(難易度:8/10)
1.塩酸
2.酢酸
3.硫酸
4.アンモニア
5.炭酸リチウム

解答:2

難問。

2.正しい。
1・3.誤り
4・5.誤り。これらは色出しで使用されます。詳細は以下の記事を参照。

 

AM 問58 

縦隔に含まれない臓器はどれか。(難易度:8/10)
1.肺
2.気管
3.胸腺
4.食道
5.心臓

解答:1

縦隔は肺に挟まれた空間のことを指します。心臓,気管,食道,胸腺などが含まれます。

1.正しい。肺に挟まれた空間ですので,肺は含まれません。
2~5.誤り。

 

 

臨床血液学(AM59~67)

AM 問59 

正しいのはどれか。(難易度:4/10)
1.Bリンパ球は胸腺で成熟する。
2.髄外造血は胎生期に認められる。
3.免疫グロブリンは肝臓で合成される。
4.エリスロポエチンは骨髄で産生される。
5.トロンボポエチンは脾臓で産生される。

解答:2

1.誤り。B細胞(Bリンパ球)の名称である「B」はBone marrow(骨髄)から来ており,その名の通り骨髄で産生および分化成熟します。
2.正しい。髄外造血は「骨髄の外」で起こる造血で,病的な場合に起こります。しかしながら,胎生期では胎生3か月頃までは肝臓や脾臓といった骨髄以外で造血が行われています。
3.誤り。抗体はB細胞や形質細胞から産生されます。
4.誤り。エリスロポエチンは腎臓で産生されます。
5.誤り。トロンボポエチンは肝臓で産生されます。

 

AM 問60 

血液塗抹標本の染色法について誤っているのはどれか。(難易度:3/10)
1.正常赤芽球はPAS染色で陰性となる。
2.鉄染色は鉄芽球性貧血の診断に有用である。
3.May-Giemsa染色は細胞形態の観察に適する。
4.成熟好中球はペルオキシダーゼ染色で陽性となる。
5.特異的エステラーゼ染色はフッ化ナトリウムで阻害される

解答:5

エステラーゼ2重染色については以下の記事を参照。

血液特殊染色については以下の記事を参照。

1~4.正しい。
5.誤り。フッ化ナトリウムで阻害されるのは非特異的エステラーゼ染色です。

 

 

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おるてぃ
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