第68回臨床検査技師国家試験解説(PM41~60)

第68回臨床検査技師国家試験(PM41~60)の解説です。

第68回臨技国試のPM問41~60の解説です。
難易度は主観で1~10の10段階でつけています。
1:超簡単
2~3:簡単
4~5:普通
6~7:やや難問
8~9:難問
10:超難問

第68回臨技国試についてをまとめたページもありますので,まだ見ていない方はぜひそちらもご参照ください。

では,解説をどうぞ!
おるてぃ
おるてぃ

問題の出典:厚生労働省ホームページ 第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp220421-07b_01.pdf)

臨床化学(PM29~44)

臨床化学の問29~40は第68回臨床検査技師国家試験解説(PM21~40)を参照してね!
おるてぃ
おるてぃ

PM 問41 

インスリンの分泌を抑制するのはどれか。(難易度:4/10)
1.アミノ酸
2.グルカゴン
3.グルコース
4.インクレアチン
5.ソマトスタチン

解答:5

ホルモンの問題は毎年必ず出題されます。必ず対策しておきましょう。

1~4.誤り。
5.正しい。ソマトスタチンは膵Langerhans島D細胞から分泌され,GH(成長ホルモン),グルカゴン,インスリンの分泌を抑制します。

  

PM 問42 

酸化還元酵素はどれか。(難易度:2/10)
1.CK
2.LD
3.ALT
4.AST
5.γ-GT

解答:2

酵素の分類についてはたまに出題されます。問題自体が難しくないので必ず正解できるようになっておきたいところです。

<酵素分類>

酵素分類

骨吸収マーカーのうち,TRACP-5b(酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ5b型)以外は尿を検体として用いることができます。また,DPD(デオキシピリジノリン)は尿検体のみが対象となります。

1・3~5.誤り。いずれも転移酵素です。
2.正しい。

  

PM 問43 

Lambert-Beerの法則が成り立つ条件で,15μmolの物質AをXmLのイオン交換水に溶解し,光路長10mmのセルで吸光度を測定したところ0.945であった。Aのモル吸光度係数を6.3×103L・mol-1・cm-1とするとXはどれか。(難易度:5/10)
1.2
2.10
3.50
4.100
5.200

解答:4

Lambert-Beerの法則が知らないと手も足も出ません。逆に知っていればサービス問題です。

<Lambert-Beerの法則>

Lambert-Beerの法則

Lambert-Beerの法則がわかれば後は問題文の数値を代入するだけです。

注意点として,モル濃度の単位はmol/L,光路長はcmです。今回はそれぞれμmol,mmであるため,それぞれ単位を変換する必要があります。また,mol/Lの「/L」の部分が今回はXmLになっているため,そこにも注意です。

μmol/X mL→10-6 mol/×10-3X L
mm→10-1 cm

$$0.945=(6.3\times 10^3)\times (\frac{15\times 10^{-6}}{10^{-3}X})\times (10\times 10^{-1})$$

$$0.945X=6.3\times 15$$

$$0.945X=94.5$$

$$X=100$$

よって4が正解です。

1~3・5.誤り。
4.正しい。

  

PM 問44 

炭化水素鎖中に1つの二重結合を持つ脂肪酸はどれか。(難易度:4/10)
1.オレイン酸
2.リノール酸
3.ステアリン酸
4.パルミチン酸
5.α-リノレン酸

解答:1

脂肪酸の問題は国家試験でよく出題されるので,炭疽数と二重結合の数,必須脂肪酸等はしっかり押さえておきましょう。

<脂肪酸>

脂肪酸

1.正しい。
2~5.誤り。

  

  

病理組織細胞学(PM45~58)

PM 問45 

MayerとCarazziのhematoxylin液のどちらにも用いられるのはどれか。(難易度:5/10)
1.クエン酸
2.過ヨウ素酸
3.グリセリン
4.抱水クロラール
5.カリウムミョウバン

解答:5

たまに出題されるhematoxylin液の組成の問題です。

hematoxylinについては別記事で詳しく解説してありますので,まだ知識があいまいな人は必ず見ておきましょう!

1.誤り。Mayerの酸性化剤として用いられます。
2.誤り。どちらにも使いません。
3.誤り。Carazziの酸化防止剤として用いられます。
4.誤り。Mayerの防腐剤として用いられます。
5.正しい。媒染剤として用いられます。

  

PM 問46 

疾患とその診断に有用な染色法との組み合わせで誤っているのはどれか。(難易度:4/10)
1.肝硬変=渡辺の鍍銀法
2.心筋梗塞=azan染色
3.ヘモジデローシス=toluidine blue染色
4.慢性糸球体腎炎=PAM染色
5.B型肝炎=Victoria blue染色

解答:3

よくある染色の問題。特に難しくはないので正解できるようになっておきたいところです。
染色の詳細については個別記事を参照。

↑この記事からさらに各染色のページにアクセスできるよ!
おるてぃ
おるてぃ

1~4.正しい。
3.誤り。ヘモジデローシスはヘモジデリンが沈着する病気です。ヘモジデリンは鉄を含むため,鉄染色(Berlin blue染色)が有用です。toluidine blue染色は多糖類を対象とした染色法です。

  

PM 問47 

細胞診標本上で見られる小細胞癌の形態学的特徴はどれか。(難易度:5/10)
1.核偏在性
2.真珠形成
3.粘液空胞
4.鋳型状配列
5.オタマジャクシ型

解答:4

細胞診の基本的な問題ですが,解けるかどうかは細胞診の頑張り次第といった問題。

<扁平上皮癌と腺癌の特徴>

扁平上皮癌と腺癌の特徴

表では扁平上皮癌と腺癌についてまとめていますが,これを知っていれば小細胞癌の特徴は消去法で解けます。

1・3.誤り。これらは腺癌の特徴です。
2・5.誤り。これらは扁平上皮癌の特徴です。
4.正しい。

  

PM 問48 

H-E染色標本を示す。この臓器はどれか。(難易度:10/10)
68pm48

出典:厚生労働省ホームページ 第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp220421-07b_02.pdf)

1.視床下部
2.下垂体
3.副甲状腺
4.膵臓
5.副腎

解答:5

超難問。これは解けなくても大丈夫です。興味がある人は各自で調べてみましょう。

1~4.誤り。
5.正しい。

  

PM 問49 

健常成人で肝臓に接していないのはどれか。(難易度:5/10)
1.横隔膜
2.腎臓
3.胆嚢
4.脾臓
5.副腎

解答:4

見た目結構難しそうに見えますが,肝臓との物理的距離を考えれば正解にたどり着けます。場所があいまいな人は今一度臓器の位置を確認しておきましょう。

1~3・5.誤り。
4.正しい。

  

PM 問50 

病理解剖において切開開始前の手順に含まれないのはどれか。(難易度:9/10)
1.身長の計測
2.皮膚の清拭
3.死後硬直の確認
4.臨床経過の確認
5.病理解剖承諾書の確認

解答:2

こちらもかなりの難問。解けなくても気にする必要はありません。

1・3~5.含まれる。
2.含まれない。

  

PM 問51 

癌抑制遺伝子はどれか。(難易度:3/10)
1.BRAF
2.BRCA1
3.ERBB2HER2
4.KIT
5.KRAS

解答:2

国家試験で出題される癌抑制遺伝子は数が限られているので,表に示した8つ(被りがあるので実質6つ)を必ず覚えておきましょう!

<癌抑制遺伝子>

癌抑制遺伝子

1・3~5.誤り。
2.正しい。

  

PM 問52 

乳腺で癌が発生しやすい部位はどれか。(難易度:10/10)
1.内側上部
2.内側下部
3.外側上部
4.外側下部
5.乳頭部

解答:3

超難問。ただ,知っていれば余裕という両極端な問題。

乳癌は

外側上部>内側上部>外側下部>内側下部>乳頭部

の順に多く,

  1. 外側上部(約50%)
  2. 内側上部(約20%)
  3. 外側下部(約12%)
  4. 内側下部(約7%)
  5. 乳頭部(約6%)
  6. その他(複数部位など 約5%)

となっています。

リンパ節に転移しやすいということで,腋窩リンパ節に一番近い外側上部が一番頻度が高いと覚えておきましょう。

1・2・4・5.誤り。
3.正しい。

  

PM 問53 

電子顕微鏡標本作製時の工程と用いる試薬との組み合わせで正しいのはどれか。(難易度:4/10)
1.前固定=オスミウム酸液
2.後固定=グルタルアルデヒド液
3.脱水=エタノール
4.置換=キシレン
5.包埋=カーボワックス

解答:3

電子顕微鏡の問題の中でよく出題されるタイプの問題。絶対に正解できるようになりたいところです。

電子顕微鏡に関しては66am47で解説しています。

1・2.誤り。胸前固定と後固定で用いる試薬がそれぞれ逆です。。
3.正しい。
4.誤り。置換はTEMではプロピレンオキシド,SEMでは酢酸イソアミルです。
5.誤り。包埋はエポキシ樹脂です。

  

PM 問54 

外胚葉から発生するのはどれか。2つ選べ。(難易度:3/10)
1.気管
2.結腸
3.脾臓
4.中枢神経
5.副腎髄質

解答:4・5

国家試験頻出の問題。ゴロで覚えておけば解ける問題です。今回は副腎髄質まで覚えている必要があります。

65am50で解説してありますので,覚えていない人は必ず覚えておきましょう!

1・2.誤り。これらはいずれも内胚葉由来です。
3.誤り。中胚葉由来です。
4・5.正しい。なお,副腎皮質は中胚葉由来です。

  

PM 問55 

細胞診検体のGiemsa染色で正しいのはどれか。(難易度:6/10)
1.核が異染性を示す。
2.細胞質の角化が明瞭となる。
3.細胞質内顆粒が観察しやすい。
4.乾燥により細胞が小さく見える。
5.クロマチン構造が観察しやすい。

解答:3

Papanicolaou染色とGiemsa染色の違いをしっかり押さえていないと難しい問題です。

<Papanicolaou染色とGiemsa染色>

Papanicolaou染色とGiemsa染色

3.正しい。
1・2・4・5.誤り。

  

PM 問56 

パラフィン包埋に用いられる硬パラフィンの融点に最も近いのはどれか。(難易度:4/10)
1.38℃
2.48℃
3.58℃
4.68℃
5.78℃

解答:3

66pm53で対策していれば簡単な問題。

1・2・4・5.誤り。
3.正しい。

  

PM 問57 

病理解剖時に摘出された臓器の肉眼写真を示す。臓器はどれか。(難易度:3/10)
68pm57

出典:厚生労働省ホームページ 第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp220421-07b_02.pdf)

1.心臓
2.膵臓
3.肝臓
4.脾臓
5.腎臓

解答:4

何と63am58と全く同じ写真。勿論答えも同じなため,過去問を見ておけば迷わず解ける問題。ただ,消去法でもそこまで難しくはありません。

4.正しい。
1~3・5.誤り。

  

PM 問58 

ミトコンドリアが存在しないのはどれか。(難易度:5/10)
1.好中球
2.赤血球
3.形質細胞
4.リンパ球
5.マクロファージ

解答:2

<赤血球の基本>

赤血球の基本

2.正しい。
1・3~5.誤り。

  

  

臨床血液学(PM59~67)

PM 問59 

細胞形態の特徴と疾患の組み合わせで誤っているのはどれか。(難易度:4/10)
1.異形リンパ球=伝染性単核球症
2.環状鉄芽球=サラセミア
3.巨大血小板=May-Hegglin異常症
4.中毒性顆粒=重症感染症
5.微小巨核球=骨髄異形成症候群

解答:2

<巨大血小板の出現する疾患>

<白血球の形態異常>

1・3~5.正しい。
2.誤り。環状鉄芽球が出現するのはMDSや鉄芽球性貧血です。

  

PM 問60 

血栓性血小板減少性紫斑病で認められるのはどれか。2つ選べ。(難易度:4/10)
1.網赤血球減少
2.ハプトグロビン高値
3.ADAMTS13活性低下
4.超高分子量VWFマルチマー出現
5.ループスアンチコアグラント陽性

解答:3・4

TTPの基本的な内容を覚えておけば特に苦労せず正解できます。

<血栓性血小板減少性紫斑病(TTP:thrombotic thrombocytopenic purpura)>

TTP

1・2.誤り。溶血性貧血を伴うため,網赤血球は増加し,ハプトグロビンは減少します。
3・4.正しい。
5.誤り。ループスアンチコアグラントは抗リン脂質抗体症候群(APS)で認められます。

  

  

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