第68回臨床検査技師国家試験(PM1~20)の解説です。
第68回臨技国試のPM問1~20の解説です。
難易度は主観で1~10の10段階でつけています。
1:超簡単
2~3:簡単
4~5:普通
6~7:やや難問
8~9:難問
10:超難問
第68回臨技国試についてをまとめたページもありますので,まだ見ていない方はぜひそちらもご参照ください。
問題の出典:厚生労働省ホームページ 第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp220421-07b_01.pdf)
臨床検査総論(PM1~10)
PM 問1
解答:2・5
内部精度管理の問題はこの分野では頻出ですので必ず覚えましょう!
なお,3・4は患者試料を用いる代表的な検査過誤(患者取り違え)検出法ですので,こちらも忘れずに!
1.誤り。調べてもよくわからなかったのですが,恐らくX-R管理図法と混同させて間違いを誘う選択肢だと思います。
2・5.正しい。
3・4.誤り。患者血清を用いる代表的な管理法です。
PM 問2
解答:1
標準予防策において,体液・分泌物のうち「汗は除く」と定義されています。
1.正しい。
2~5.誤り。
PM 問3
解答:1
画像は細かくて小さな物質が多数見えることから顆粒円柱が考えられます。
1.正しい。
2.誤り。脂肪はS染色では染まりません。
3.誤り。硝子円柱では内部に顆粒はありません。
4・5.誤り。これらは顆粒よりもっと大きな物質です。
PM 問4
解答:4・5
昨年(67pm1)も出題された便潜血の問題です。今回はひねりがないため簡単。
1.誤り。鉄ではなくHbを検出します。
2.誤り。食事制限は不要です。
3.誤り。感度は高いです。
4・5.正しい。
PM 問5
解答:5
かなりひねりのある問題。
過去に滲出液と漏出液の問題が出ましたが,関節液は基本的に漏出液です。よって,漏出液の項目を満たしていないものが正解と考えられます。(関節液の基準値等を調べてもよくわからなかったので・・・)
滲出液と漏出液の鑑別については65pm7を参照してください。
PM 問6
解答:5
中間宿主と終宿主の問題はたまに出題されます。
1~4.誤り。すべてヒトを終宿主とします。また中間宿主は存在しません。
5.正しい。
PM 問7
解答:3
マラリアのうち悪性度が高いのは熱帯熱マラリアです。
PM 問8
解答:4
さすがにこれだけ出題頻度が高いとなると本気で覚えるしかなさそうです。画像は66pm3から引っ張ってきたものです。
1~3・5.誤り。
4.正しい。
PM 問9
解答:3
RNAの前についているアルファベットが何を表しているかを知らないと解けない問題。
1.誤り。messenger RNA。蛋白を作る際に,DNAから転写して作られるRNA。
2.誤り。ribosomal RNA。リボソームを構成するRNA。
3.正しい。transfer RNA。mRNAとタンパク質のアミノ酸配列とを物理的に結合させ,リボソームに運搬するRNA。
4.誤り。heterogeneous nuclear RNA。mRNA前駆体の総称。
5.誤り。small nuclear RNA。低分子RNA。
PM 問10
解答:2
「PCRで非特異産物ができる/増幅されない」に関しては,以下の記事のPCRでまとめてあります。
1・3~5.誤り。これらはいずれも目的の産物が少ない時に試みる方法です。
2.正しい。
臨床検査医学総論(PM11~15)
PM 問11
解答:3
今年の医学総論の中では超難問。解けなくても問題ありません。
3.正しい。
1・2・4・5.誤り。
PM 問12
解答:4
染色体検査が有用=染色体数に異常がある疾患ということになります。
常染色体数的異常疾患・性染色体異常疾患に関しては65pm14でまとめてあります。
1~3・5.誤り。
4.正しい。
PM 問13
解答:3
ROC曲線は,縦軸に「感度」,横軸に「1-特異度」を取ったグラフです。
検査の妥当性を示しており,グラフが左あがりになる=グラフの下側の面積(AUC)が大きいほどいいと言えます。
今回はやや発展的ですが,特異度と対をなすのは偽陽性であり,特異度+偽陽性率=1が成り立つため,1-特異度=偽陽性率となります。
3.正しい。
1・2・4・5.誤り。
PM 問14
解答:1
自己抗体の問題も割りと出題されます。覚えておくと確実に1点取れる問題のため手は抜かないように。
1.正しい。
2~5.誤り。
PM 問15
解答:1
過去問でも類似問題が出題されておりました。
免疫組織化学染色のマーカーについてをまとめた記事がありますので,まだ知識が確実でない人はきっちり押さえておきましょう!
HER2については↓から直接飛べます。
1.正しい。
2~5.誤り。
臨床生理学(PM16~28)
PM 問16
解答:1
心周期の曲線は過去にも出題されているため,最低でも大動脈圧と左室圧の変化は覚えておきましょう。
また,この曲線を覚えていなくとも,血圧を思い出せれば答えはおのずと1となります。
1.正しい。
2~5.誤り。
PM 問17
解答:4
52回までの国試に過去1度しか出題されてなく(54am16),出題頻度が低いためきっちり対策していないと解けない問題。(一応教科書にも載ってはいますが・・・)
心電図の波形で特徴的なのは,P波の前にある縦線。これはペースメーカ装着の心電図で見られ,スパイクと呼ばれます。
※ペースメーカーのモードによってスパイクの入る位置が異なります。
1~3・5.誤り。
4.正しい。
PM 問18
解答:3・4
Holter心電図の問題は過去問頻出の問題です。必ず解けるようにしておきましょう。
(52~64回の国試では,52am5,53am5,54am18,56am18,57pm16,59pm19,61pm18,63am18と,約2年に1問のペースで出題!)
Holter心電図については65pm18で詳しく解説してあります。
1.誤り。双極誘導です。
2.誤り。
3・4.正しい。
5.誤り。V5誘導に類似します。
PM 問19
解答:3
超難問。この問題を解けなくても,フローボリューム曲線を覚えておけば十分です。
なお,フローボリューム曲線は基本的に画像の努力呼気曲線を微分して得られます。なので,上の曲線を微分できれば正解にはたどり着けます。
1秒ごとに気量の変化量を見てみると,
- 0→0.5秒:約0.8L=1.6L/s
- 0.5→1秒:約0.4L=0.8L/s(合計約1.2L)
- 1→2秒:約0.6L=0.6L/s(合計約1.8L)
- 2→3秒:約0.3L=0.3L/s(合計約2.1L)
- 3→4秒:約0.3L=0.3L/s(合計約2.4L)
- 4→5秒:約0.2L=0.2L/s(合計約2.6L)
- 5→6秒:約0.2L=0.2L/s(合計約2.8L)
- 6→7秒:約0.1L=0.1L/s(合計約3.0L)
となります。これをグラフにしてみるとこうなります。
ややわかりにくいですが,グラフは下に凸の形を取っています。これは閉塞性換気障害の特徴的な形です。
よって,COPDが考えられます。
PM 問20
解答:3
3.誤り。アシデミアとは,pHが<7.35のことを指します。
1・2・4・5.正しい。
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