第68回臨床検査技師国家試験(PM21~40)の解説です。
第68回臨技国試のPM問21~40の解説です。
難易度は主観で1~10の10段階でつけています。
1:超簡単
2~3:簡単
4~5:普通
6~7:やや難問
8~9:難問
10:超難問
第68回臨技国試についてをまとめたページもありますので,まだ見ていない方はぜひそちらもご参照ください。
問題の出典:厚生労働省ホームページ 第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp220421-07b_01.pdf)
臨床生理学(PM16~28)
PM 問21
神経線維における活動電位とその伝導について誤っているのはどれか。(難易度:4/10)
1.温度が低いと伝導は遅くなる。
2.軸索の直径が太いほど伝導は速い。
3.活動電位の大きさは減衰せずに伝導する。
4.中間部で発生した活動電位は両方向に伝導する。
5.刺激の強さに比例して発生する活動電位が大きくなる。
解答:5
神経の3原則は過去問でも出題されたことがあるので覚えておきましょう。消去法で解けます。
<神経線維伝導の3原則>
<神経伝導速度の変化>
1~4.正しい。
5.誤り。
PM 問22
誘発電位を示す。この記録はどれか。(難易度:1/10)
出典:厚生労働省ホームページ 第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp220421-07b_02.pdf)
1.視覚誘発電位
2.事象関連電位
3.聴性定常反応
4.聴性脳幹反応
5.体性感覚誘発電位
解答:4
過去にも同じような波形が過去問(58am25)で出題されており,この類似問題もかなり出題されているので必ず正解したいところです。
<聴性脳幹反応(聴覚脳幹誘発電位,ABR:auditory brain stem response)>
4.正しい。
1~3・5.誤り。
PM 問23
針筋電図検査において急性脱神経でみられるのはどれか。(難易度:9/10)
1.急速動員
2.陽性鋭波
3.高振幅電位
4.多相性電位
5.ミオトニー放電
解答:2
かなり難しい問題。余裕のある人は対策しておきましょう。余裕がなければ今はスルーで。
<針筋電図の安静時の所見>
2.正しい。
1・3~5.誤り。
PM 問24
心臓超音波カラードプラ法の四腔像を示す。疾患はどれか。(難易度:4/10)
出典:厚生労働省ホームページ 第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp220421-07b_02.pdf)
1.Fallot四徴症
2.大血管転位症
3.動脈管開存症
4.心室中隔欠損症
5.心房中隔欠損症
解答:5
心尖部四腔像は66am18でも出題されており,こちらを対策していれば簡単です。
画像を見ると,右心房と左心房の間に血流が確認できます。右心房と左心房の間には心房中隔があり,血流が認められないはずですので,ここに血流がある=心房中隔欠損症となります。
出典:厚生労働省ホームページ 第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp220421-07b_02.pdf)を加工して作成
1~4.誤り。
5.正しい。
PM 問25
上腹部超音波像を示す。走査法はどれか。(難易度:6/10)
出典:厚生労働省ホームページ 第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp220421-07b_02.pdf)
1.右肋間走査
2.心窩部横走査
3.心窩部縦走査
4.右季肋部斜走査
5.右肋骨弓下走査
解答:2
66pm22で似たような画像が出題されており,ここで走査法まで覚えていた人にとっては簡単な問題。
心窩部横走査は意外と出題されるので,どこにどの臓器・組織があるかも覚えておきたいところ。
1・3~5.誤り。
2.正しい。
PM 問26
下腹部正中横走査による女性の骨盤腔の超音波像を示す。矢印で示すのはどれか。(難易度:8/10)
出典:厚生労働省ホームページ 第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp220421-07b_02.pdf)
1.膣
2.子宮
3.直腸
4.膀胱
5.卵巣
解答:2
過去にもあまり出題歴のない問題のため,かなり難しい問題。
頻度自体が高くないため,余裕のある人以外はスルーでOKです。
1・3~5.誤り。
2.正しい。
PM 問27
医療用MRIについて誤っているのはどれか。(難易度:4/10)
1.任意の断面を画像化できる。
2.炭素の磁気共鳴信号を画像化する。
3.拡散強調画像は急性期の脳梗塞検出能に優れる。
4.頭部では造影剤を用いずに血管の撮影ができる。
5.拡散テンソル画像は神経線維の走行を描出できる。
解答:2
正解以外の選択肢が難しいので,正解の選択肢に関して知っているかどうかです。
MRIでは水素の原子核(プロトン)を画像化します。よって2が誤りです。
61pm25に類似問題が出題されています。
2.誤り
1・3~5.正しい。
PM 問28
眼底写真を示す。矢印で示すのはどれか。(難易度:5/10)
出典:厚生労働省ホームページ 第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp220421-07b_02.pdf)
1.黄斑
2.白斑
3.水晶体
4.中心窩
5.視神経乳頭
解答:5
眼底写真は出題頻度が低く,対策を怠ると手も足も出ないところです。この問題に関しては,眼底写真の基礎問題であるため,余裕があれば対策しておくとよいでしょう。
出典:厚生労働省ホームページ 第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp220421-07b_02.pdf)を加工して作成
1~4.誤り。
5.正しい。
臨床化学(PM29~44)
PM 問29
水溶性ビタミンはどれか。2つ選べ。(難易度:1/10)
1.ビタミンA
2.ビタミンC
3.ビタミンE
4.ビタミンK
5.葉酸
解答:2・5
今年の臨床化学の問題の中で最も簡単。
2・5.正しい。
1・3・4.誤り。Vit.A/D/E/Kは脂溶性ビタミンです。
PM 問30
尿を検体として測定するのはどれか。(難易度:4/10)
1.オステオカルシン(OC)
2.骨型アルカリホスファターゼ
3.Ⅰ型コラーゲン架橋Cテロペプチド(CTX)
4.Ⅰ型プロコラーゲンCプロペプチド(PICP)
5.Ⅰ型プロコラーゲンNプロペプチド(PINP)
解答:3
67pm42でも類似問題が出題されています。
骨吸収マーカーのうち,TRACP-5b(酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ5b型)以外は尿を検体として用いることができます(血清も可)。なお,DPD(デオキシピリジノリン)は尿検体のみが対象となります。
また,骨形成マーカーは全て血清を対象とします。
3.正しい
1・2・4・5.誤り。これらは全て骨形成マーカーであるため,血清を用います。
PM 問31
過酸化水素・ペルオキシダーゼ系呈色反応に必要な試薬はどれか。2つ選べ。(難易度:10/10)
1.ADP
2.NAD(P)H
3.フェノール
4.4-ニトロフェノール
5.4-アミノアンチピリン
解答:3・5
超難問。勿論解けなくても問題ありません。
1・2・4.誤り。
3・5.正しい。
PM 問32
放射線に関する物理量と単位の組合せで正しいのはどれか。(難易度:7/10)
1.放射能=eV
2.吸収線量=C・kg-1
3.照射線量=Gy
4.線量当量=Sv
5.放射線のエネルギー=Bq
解答:4
放射線の単位をしっかり理解していないと難問です。
SI組立単位の問題は医療工学でもたまに出題されるので,この際に単位を覚えておきましょう。
1.誤り。Bqです。
2.誤り。Gyです。
3.誤り。照射線量の単位はC/kgです。
4.正しい。
5.誤り。
PM 問33
直接ビリルビンが高値を示すのはどれか。(難易度:4/10)
1.新生児黄疸
2.溶血性貧血
3.Gilbert症候群
4.Crigler-Najjar症候群
5.Dubin-Johnson症候群
解答:5
ビリルビンの問題は毎年ほぼ出題される頻出の問題。確実に対策して正解したいところ。
ビリルビンに関しては66am37でしっかり解説していますので,知識があいまいという方は必ず見ておきましょう。
1~4.誤り。
5.正しい。
PM 問34
CK-MBが著しく上昇するのはどれか。(難易度:3/10)
1.心筋炎
2.皮膚筋炎
3.重症筋無力症
4.筋萎縮性側索硬化症
5.Duchenne型筋ジストロフィ
解答:1
過去にはCKの反応系についても出題されたことがあるので,しっかり押さえておきましょう。
<クレアチンキナーゼ(CK)>
1.正しい。
2~5.誤り。
PM 問35
アミラーゼについて誤っているのはどれか。(難易度:6/10)
1.α1,4-グリコシド結合を分解する。
2.活性化にはクロールイオンが必要である。
3.カルシウムイオンを含有する酵素である。
4.膵臓型は唾液腺型よりも分子量が大きい。
5.日本臨床化学会(JSCC)勧告法では共役酵素を用いる。
解答:4
アミラーゼについては66pm32でまとめてありますが,この問題はそれ以上に難しいです。
4.誤り。アミラーゼはS型のほうがP型よりも若干分子量が大きいです。
1~3・5.正しい。
PM 問36
eGFRの計算に使用するのはどれか。2つ選べ。(難易度:1/10)
1.身長
2.体重
3.年齢
4.血清クレアチニン濃度
5.尿中クレアチニン濃度
解答:3・4
定番中の定番の問題です。過去問をやっていれば余裕です。この問題は絶対に正解できるようにしましょう。
(過去に57am37・60pm15・62pm44・64am38,そして66am15の5回出題)
1・2・5.誤り。
3・4.正しい。
PM 問37
レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)を活性化するのはど
れか。(難易度:4/10)
1.アポA1
2.アポA2
3.アポB100
4.アポC3
5.アポE
解答:1
この問題は過去にも同一問題が出題されており(54am33,61am35),LCATやアポ蛋白に関しては66am41で解説してありますので,過去問をしっかり対策していれば簡単です。
1.正しい。
2.誤り。LCATの活性を阻害します。
3~5.誤り。
PM 問38
ビウレット法でキレート呈色反応を示すのはどれか。(難易度:4/10)
1.鉄イオン
2.銅イオン
3.亜鉛イオン
4.カルシウムイオン
5.マグネシウムイオン
解答:2
Biuret法については65am35でも出題されており,ここで対策していれば簡単です。
2.正しい。
1・3~5.誤り。
PM 問39
血中半減期が最も短いのはどれか。(難易度:10/10)
1.ALT
2.AMY
3.AST
4.CK
5.LD5
解答:2
超難問。解けなくても問題ありません。勘で正解できたらラッキーくらいに考えておきましょう。
1.誤り。約40時間です。
2.正しい。約2時間で,最も半減期が短いです。
3・4.誤り。約12時間です。
5.誤り。約9時間です。
PM 問40
血中薬物濃度モニタリングの対象にならないのはどれか。(難易度:5/10)
1.ジゴキシン
2.バルプロ酸
3.テオフィリン
4.ワルファリン
5.バンコマイシン
解答:4
TDMの対象薬剤は数が多く,全てを完璧に覚えるのは無理があるため,主要なものを覚えておくといいです。対象薬剤については66am43で解説してあります。
これを知っていれば1,3,5は消せます。後は2と4ですが,ワルファリンのモニタリングはTDMではなく,PT-INRであることを知っていればおのずと答えは4になります。また,ワルファリンが抗凝固薬と知っていればそれでも答えを導き出せます。
1~3・5.誤り。
4.正しい。
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