第66回臨床検査技師国家試験(AM1~20)の解説です。
第66回臨技国試のAM問1~20の解説です。
難易度は主観で1~10の10段階でつけています。
1:超簡単
2~3:簡単
4~5:普通
6~7:やや難問
8~9:難問
10:超難問
第66回臨技国試についてをまとめたページもありますので,まだ見ていない方はぜひそちらもご参照ください。
問題の出典:厚生労働省ホームページ 第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午前問題(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp200414-07a_01.pdf)
臨床検査総論(AM1~10)
AM 問1
解答:2
初手から難易度の高い問題が。
尿検査をしっかり勉強していれば簡単なのかもしれませんが……。
1.誤り。比重を測定する方法です。ってか,これは知っていたはずなのに,なぜか問題を解いているときは勘違いして普通に間違えてしまうなんて……。
2.正しい。
3.誤り。pHを測定する方法です。
4・5.誤り。いずれも比重の試験紙法に用いられます。
AM 問2
解答:2
65pm11の問題をしっかり対策していた人(解説をきちんと読んでいただけた人)にとっては簡単だったと思います。逆に適当に勉強していた人にとっては初見の難問です。
AM 問3
解答:2
結晶の問題は結構出題されるので対策は怠らないようにしましょう。
<結晶の特徴と形状>
※著作権上の問題から,結晶の画像は全て自作のイラストを用いています。実際の結晶画像は検索してご確認ください。
画像では無色透明の六角形の結晶が確認できるため,シスチン結晶が考えられます。
1・3~5.誤り。
2.正しい。
AM 問4
解答:3
超難問。解説できそうにないので,解ける必要はありません。
1・2・4・5.誤り。
3.正しい。
AM 問5
解答:2・5
糞便の主な異常所見には血便や脂肪便などがあります。
これらを鑑別する方法を選択すればOKです。
1.誤り。Guthrie法は以前用いられていた新生児マススクリーニング法です。新生児マススクリーニングは新生児の血液を利用します。
2.正しい。SudanⅢ染色は脂肪染色の1つで,脂肪便の鑑別に有用です。
3.誤り。スルホサリチル酸法は尿蛋白の半定量方法です。
4.誤り。ジアゾカップリング法は尿試験紙法のビリルビン測定に用いられています。
5.正しい。いわゆる便潜血検査です。
AM 問6
解答:2
65am7でも医動物の画像問題がありましたが,その時の問題は画像を見ずに問題文のポイントから答えを導きました。今回も同様で,画像を見る必要は一切ありません。問題文にヒントが書かれているので,そこに気付けるか否かです。
問題文をもう一度見てみましょう。
もうバレバレだと思いますが,この問題のポイントは夜間採血ということです。
過去問を解いている人ならピンとくると思いますが,夜間採血必須な寄生虫が1つだけあります。それが,Bancroft糸状虫です。(58am10ではBancroft糸状虫の採血時間帯の問題が出題)
Bancroft糸状虫は昼間は出てこず,夜間(22:00~4:00)にミクロフィラリアと呼ばれる,
Bancroft糸状虫の生活史の 1つが出現します。これが蚊によって吸血されると蚊に移行して感染幼虫となり,その蚊に刺されることで感染します。
よって,本寄生虫は刺咬感染,特に今回は蚊なので皮膚に刺されることによる感染=経皮感染が正解となります。
1.誤り。
2.正しい。
3.誤り。
4.誤り。経胎盤感染する主な寄生虫はトキソプラズマです。
5.誤り。性行為感染する主な寄生虫には赤痢アメーバ・トリコモナス・クリプトスポリジウム・Lambl鞭毛虫(トリコモナス以外は性行為時の経口感染)などがあります。
AM 問7
解答:1・2
実際に採血業務をしていれば簡単なのですが,そうもいかないのが難しいところ。
なので,常識的に考えてベターな選択肢を2つ選ぶという答え方になると思います。
1.正しい。患者間違いを防ぐため,必ず患者さん自身にも姓名を聞いて確認をします。
2.正しい。採血後の針はホルダーとつながった状態であり,この針を外すことは針刺し事故の可能性もあるため,原則ホルダーごと廃棄します。
3.誤り。肘正中皮静脈を第一選択とします。ここでの採血が難しい場合は他の部分を選択します。ただし,尺側皮静脈は深部に動脈が走行しているため,ここを選択する場合は細心の注意を払う必要があります。
4.誤り。揉むと止血ができず内出血等の原因となるため,穿刺部を押さえて止血します。
5.誤り。針刺し事故を防ぐため,ホルダーごと廃棄します。
AM 問8
解答:3・4
尿潜血と尿沈渣赤血球の乖離問題は頻出です。必ず原因を覚えておきましょう。
<血尿・Hb尿・Mb尿の主な原因疾患>
尿の種類 | 疾患 |
血尿 | ・IgA腎症 ・尿路結石 ・腎尿路系悪性腫瘍 |
ヘモグロビン(Hb)尿 | ・発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH) ・異型輸血(不適合輸血) |
ミオグロビン(Mb)尿 | ・クラッシュ症候群 ・横紋筋融解症 ・多発性筋炎 |
1・2・5.誤り。これらの疾患では血尿が出るため,尿沈渣で赤血球が確認できます。
3・4.正しい。
AM 問9
解答:3
健常者の髄液の性状は以前紹介しました。
この性状と,次に示す表は必ず覚えておく必要があります。
AM 問10
解答:3・4
精度管理の問題はほぼ毎年出題されます。下の表は必ず覚えておきましょう。
1・2・5.誤り。これらは管理試料を用いる精度管理法です。
3・4.正しい。
臨床検査医学総論(AM11~15)
AM 問11
解答:3
1.誤り。Burkittリンパ腫で見られる染色体異常です。
2.誤り。M2で見られる染色体異常です。
3.正しい。
4.誤り。濾胞性リンパ腫で見られる染色体異常です。
5.誤り。APLで見られる染色体異常です。
AM 問12
解答:4
動脈血ガス分析の基準値と,アシドーシス・アルカローシスの分類は65am22で解説しています。
この問題は↑で示す知識を知っていること前提で,さらに呼吸性/代謝性のアシドーシス/アルカローシスの主な疾患も知っておく必要があります。
<呼吸性/代謝性のアシドーシス/アルカローシスを示す主な疾患>
※AG:アニオンギャップ
今回の問題では,動脈血ガス分析の結果(pH↑・PaCO2↓・HCO3-→)より呼吸性アルカローシスが考えられます。よって,呼吸性アルカローシスを呈する疾患を選択すればOKです。
1.誤り。胃液喪失により代謝性アルカローシスを呈します。
2.誤り。
3.誤り。閉塞性換気障害であるため呼吸性アシドーシスを呈します。
4.正しい。
5.誤り。代謝性アルカローシスを呈します。
AM 問13
解答:1
自己免疫疾患と自己抗体の関連については65pm15で解説しています。きちんと対策していた人にとっては簡単だったと思います。
1.正しい。
2.誤り。Sjögren症候群で出現します。
3.誤り。自己免疫性肝炎(AIH)で出現します。
4.誤り。抗リン脂質抗体症候群(APS)で出現します。
5.誤り。橋本病で出現します。
AM 問14
解答:1
【検査所見】
[増加・延長]
・PT・APTT
・総ビリルビン
・アンモニア
・γ-グロブリン
・BSP(bromsulphalein)試験-30分停滞率(5%↑)
・ICG(indocyanine green)試験-15分停滞率(10%↑)
[減少]
・アルブミン
・コリンエステラーゼ
・血小板数
【病理所見】
・門脈圧亢進による食道静脈瘤形成
・脾うっ血
・右葉萎縮
AM 問15
解答:2・4
定番中の定番の問題です。過去問をやっていれば余裕です。この問題は絶対に正解できるようにしましょう。
(過去に57am37・60pm15・62pm44・64am38の4回出題)
- 年齢
- 性別
- 血清クレアチニン値
1・3・5.誤り。
2・4.正しい。
臨床生理学(AM16~28)
AM 問16
解答:4
64am16に出てきた圧容積曲線をきちんと復習していれば簡単な問題だったと思います。
AM 問17
解答:1・3
なかなか難しめの問題です。
連続波ドプラの特徴を知っておいて,それに即するような検査を選択する必要があります。
この表からわかる通り,連続波ドプラ法の最大の特徴は高速血流が測定できることです。そのため,逆流速度測定やベルヌーイ式を用いた圧較差測定に有用です。
AM 問18
解答:4
まずは心尖部四腔像を読めるようになる必要があります。
これがわかれば,本問のエコー図は左心室→左心房への逆流=僧帽弁閉鎖不全症であることが想定できます。
後は,僧帽弁閉鎖不全症がどういう心雑音を示すかを知っていれば答えにたどり着けます。
1~3・5.誤り。
4.正しい。
AM 問19
解答:5
今回の心筋梗塞の心電図は急性期のものではなく,ある程度時間がたったものであるため,ST上昇は見られず,代わりに冠性T波が見られています。
心筋梗塞の各梗塞部位と異常が見られる誘導については65pm17で解説していますので,「知識があいまいだ~」「うっ,まだ覚えていない…」って人はぜひそちらも参考にしてください。
本問ではⅠ・aVL・V1~V6に異常Q波と冠性T波が認められるため,V1~V4に異常の見られる前壁中隔と,I・aVL・V5・V6に異常の見られる側壁を合わせた広範囲前壁梗塞が最も考えられます。
1~4.誤り。
5.正しい。
AM 問20
解答:3・4
65pm20を正解できた方,あるいはきちんと復習した方にとっては楽勝だったでしょう。
1・2・5.誤り。スパイロメトリでは残気量を含む肺気量分画は測定できません!!
3・4.正しい。
コメント
おるてぃさん!68回を受験した者です。
この年の内部精度管理が国試で出ました!!
それ以外にもケトン体や胚葉が出題され、そこも得点を取ることができました!
いいまとめ、ありがとうございました。
※解答速報で自己採点した所、約7割でした!
コメントありがとうございます。
国家試験お疲れさまでした!自己採点で7割取れたとのことで,おめでとうございます!
まとめてあるところが試験に出てよかったです!国家試験は過去問が重要と何度も言っており,今年もその傾向だったようで何よりです。
これからも大変なこともあると思いますが,さくさくさんのペースで頑張ってください!応援しています!
まずはしっかり休まれてくださいね。
解説ありごとうございます。66回残りの解説も期待してます!
コメントありがとうございます!
今は仕事が忙しく,なかなか解説を更新する時間がないのですが,休みの日に少しずつ更新していこうと思います。
国試勉強頑張ってください!