第67回臨床検査技師国家試験(AM81~100)の解説です。
第67回臨技国試のAM問81~100の解説です。
難易度は主観で1~10の10段階でつけています。
1:超簡単
2~3:簡単
4~5:普通
6~7:やや難問
8~9:難問
10:超難問
第67回臨技国試についてをまとめたページもありますので,まだ見ていない方はぜひそちらもご参照ください。
問題の出典:厚生労働省ホームページ 第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午前問題(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp210416-07a_01.pdf)
臨床免疫学(AM79~89)
AM 問81
解答:2
抗核抗体と関連する疾患に関しては65pm82,65pm83でまとめています。
まずは画像から抗核抗体の種類を考えます。
画像では微細顆粒が染色されており,核全体が染色されていないことから,centromere型(descrete speckled型)が考えられます。
選択肢の中でcentromere型となるのはCREST症候群ですので,2が正解となります。
1.誤り。homogeneous型となります。
2.正しい。
3・4.誤り。speckled型となります。
5.誤り。homogeneous型やperipheral型となります。
AM 問82
解答:1
超難問。正解できなくても全く問題ありません。
1.誤り。皮下や腹腔内に注射します。
2・3.正しい。
4.正しい。ハプテンの場合は分子量が小さいため,分子量の大きな物質であるキャリア蛋白を結合させて抗体を作製します。
5.正しい。
AM 問83
解答:2
66pm65でFSCとSSCについて解説してあります。昨年の過去問をきっちり対策していれば問題なく正答できる問題でした。
今回の問題ではFSCとSSCのX・Y軸が入れ替わっていますので,それに気を付ければ問題ありません。
1・3~5.誤り。
2.正しい。
AM 問84
解答:1・3
なかなかな難問。部分凝集とは簡単に言えば,凝集が起きている赤血球と起きていない赤血球が同時に存在する状況ということです。
後は選択肢でその状況が起こりそうなものを選択する必要があります。
1.正しい。亜型は抗原が通常よりも減弱した状態で,凝集が起こるものと起こらないものが混在するようになるため,部分凝集を呈することがあります。
2・4・5.誤り。
3.正しい。異型輸血後では2種類以上の赤血球(例えばA型とO型など)が存在するということなので,凝集が存在するものと存在しないものが混在し,部分凝集を呈します。
(例では抗Aに対して,A型赤血球は凝集し,O型赤血球は凝集しないため,部分凝集となります。)
AM 問85
解答:5
こちらもかなりの難問。輸血用製剤の目的を知っておかないと解けない問題です。
なお新鮮凍結血漿投与のPT・APTTの条件は,
- PT30%以下 or PT-INR2.0以上
- APTT25%以下 or 基準値の2倍以上
と決まっています。
AM 問86
解答:5
こちらもやや難問。
・発作性寒冷ヘモグロビン症(PCH)患者に存在するIgG型二相性溶血素。
(0℃で赤血球に結合し,37℃で補体活性化により溶血を起こす)
・P抗原に対する特異性を持つ。
1.誤り。異好抗体とは異種動物の抗原と反応する抗体のことで,Paul-Bunnell抗体やForssman抗体などがあります。DL抗体は異好抗体ではありません。
2.誤り。二相性溶血素です。
3.誤り。IgG抗体なので免疫抗体です。
4.誤り。
5.正しい。
AM 問87
解答:4
62am81でほぼ同一の問題が出題されているので,過去問の対策をしていれば難なく正解できます。
遺伝性血管神経性浮腫(HANE)は古典経路の補体制御因子であるC1インヒビター(C1INH)が欠損する疾患です。
1~3・5.誤り。
4.正しい。
AM 問88
解答:2・3 or 2・4 or 3・4
免疫の基礎的な問題。
1.誤り。B細胞,樹状細胞,マクロファージの3つが抗原提示細胞です。
2~4.正しい。
5.誤り。キラーT細胞はMHCクラスⅠ抗原と反応します。MHCクラスⅡ抗原と反応するのはCD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞)です。
AM 問89
解答:1・2
移植に際してドナーに必要な検査は3種類です。
- HLAタイピング
DNAタイピングで検査を行う。
<臓器移植の場合>
HLA適合性↑=臓器の生着率↑
<造血幹細胞移植の場合>
HLA-A・B・DRの3種6抗原が完全一致していることを原則とする。
近年ではこれにHLA-Cを加えて,4種8抗原を一致させるようになってきている。 - 血液型検査
<臓器移植の場合>
ABO血液型のA・B抗原は臓器や血小板にも発現し,組織適合性抗原として働く。
そのため,ABO血液型同型がよい。
<造血幹細胞移植の場合>
移植時に血管内溶血を起こさないように赤血球や抗A抗体・抗B抗体を除去する必要がある。 - HBV・HCV・HIV・HTLV-1・梅毒の検査
公衆衛生学(AM90~94)
AM 問90
解答:1
知らないと手も足も出ない問題です。出題頻度は低めですが,ゴロを使ってさくっと覚えてしまいましょう。
【5疾病】
- 癌(悪性新生物)
- 糖尿病
- 脳卒中
- 心血管疾患
- 精神疾患(H25~)
【5事業】
- 周産期医療
- 小児医療
- 救急医療
- 災害医療
- へき地医療
※2024年度~の第8次医療医療計画では,「新興感染症等の感染拡大時における医療」が5事業に追加予定。
「新家の生徒が周りの小児を救済へ」
新家:心血管疾患
の:脳卒中
生:精神疾患
徒:糖尿病
が:癌
周り:周産期医療
小児:小児医療
救:救急医療
済:災害医療
へ:へき地医療
1.誤り。
2~5.正しい。
AM 問91
解答:1
予防医学は65am90で解説してあります。よく出る問題なので対策は抜かりなく。
1.正しい。
2~4.誤り。一次予防に該当します。
5.誤り。三次予防に該当します。
AM 問92
解答:5
難問。解けなくても問題ありません。気になる方は「国立健康・栄養研究所ホームページ-健康日本21(第二次) > 目標項目一覧」をご参照ください。
1~4.含まれる。
5.含まれない。
AM 問93
解答:4
こちらも難問。余裕のある人以外はスルーで。
1~3・5.正しい。
4.誤り。
AM 問94
解答:4
65pm92で職業病・健康障害の原因と症状について解説してあります。
今年度の公衆衛生分野の中では対策しやすい問題です。覚えるのが大変ですが,頑張って少しずつ覚えていきましょう!
1~3・5.正しい。
4.誤り。β-ナフチルアミンは膀胱癌の原因です。
医用工学概論(AM95~100)
AM 問95
解答:4
超難問。余裕のある人以外は対策不要です。
1.誤り。赤外線を強く吸収します。
2.誤り。赤外線(長波長)を吸収します。可視光はほとんど吸収しません。
3.誤り。短波長可視光(420nm前後)を吸収します。
4.正しい。
5.誤り。短波長,特に紫外線をよく吸収します。
AM 問96
解答:5
計算公式だけでしたら難易度は4程度ですが,本問ではlog2を知っておかなければならないことから難易度を上げました。忘れていたら解けません(-_-;)
増幅度の計算の仕方は別記事にて解説してありますので,公式を知らない方はこちらもご参照ください。
20倍と200倍の電圧増幅器を直列に接続してあるので,2つの増幅器を合わせた増幅度Aは
$$A=20\times 200=4000$$
これをdB表記すると,
$$A\,\mathrm{[dB]}=20\,\mathrm{log}_{10}4000$$
$$=20\,\mathrm{log}_{10}(2^2\times 10^3)$$
$$=20(\,\mathrm{log}_{10}2^2+\,\mathrm{log}_{10}10^3)$$
$$=20(2\,\mathrm{log}_{10}2+3\,\mathrm{log}_{10}10)$$
ここで,log2=0.301を知っていなければ計算できないので,高難度に設定しました。
$$=20(2\times 0.301+3)$$
$$=20\times 3.602=72.04\approx 72\,\mathrm{dB}$$
よって,5が正解となります。
1~4.誤り。
5.正しい。
AM 問97
解答:1・4
トランスデューサの問題はほぼ毎年出題される問題です。変換元と変換先さえ覚えておけば難なく解ける問題が大半ですので,ゴロを駆使して確実に覚えておきたいところです。
1.正しい。力→起電力。
2.誤り。光→抵抗。
3.誤り。温度→抵抗。
4.正しい。磁場→起電力。
5.誤り。変位→抵抗。
AM 問98
解答:1
非接地配線方式とは,1つの機器が絶縁不良を起こした時でも,電源の供給を確保できる設備のことです。これにより,絶縁不良でヒューズが飛び,設備全体が停電し,全ての機器が停止することを防ぐことができます。
また,漏れ電流が0.1mA以下の絶縁トランスを使用するため,マクロショック対策にもなります。
手術室,ICU(集中治療室),人工透析室などでは必須。(生命の維持にかかわる装置を有している施設)
1.正しい。
2~5.誤り。
AM 問99
解答:1
超難問。解けなくても全く気にしないで大丈夫です。
1.正しい。
2.誤り。光ウェブページを表現するための言語。
3.誤り。メールを転送するプロトコル。
4.誤り。OSの1つ。
5.誤り。通信プロトコルの1つ。
AM 問100
解答:4
(1)倍率
・物体の大きさと像の大きさの比。対物レンズ・接眼レンズの倍率の積で求められる。
・総合倍率=対物レンズ倍率×接眼レンズ倍率
(2)実視野
・顕微鏡で観察できる試料上の大きさの直径。
・実視野=接眼レンズの視野数/対物レンズ倍率
(3)開口数
・分解能・焦点深度・明るさに関係。
・開口数が大きいほど明るさ・分解能○
★開口数↑=明るさ↑・分解能↑
★像の明るさ↑=光源の明るさ↑・開口数↑・総合倍率↓
(4)焦点深度(焦点距離)
・ピントを合わせた試料における上下のピント一致範囲。深いほど高さを変えてもピントが合ったままとなる。
・開口数や総合倍率が大きいほど焦点深度が浅くなる。
(高倍率のほうが低倍率よりも,少しステージの高さを変えるだけでピントがずれる。これは焦点深度が浅いのが原因である)
★焦点深度↑=開口数↓・総合倍率↓
(5)分解能
・微細なところまで見分けられる能力のこと。見分けられる2点の最小距離。
・2点間距離(δ)が小さいほど分解能が高い。
・δ=0.61×使用する光の波長/開口数
★分解能↑=開口数↑・使用する光の波長↓
1~3・5.正しい。
4.誤り。焦点深度(焦点距離)は高倍率のほうが浅い(短い)。
コメント
おるてぃさんのおかげで、学年トップをとることができました。こんなにもわかりやすい解説は他にないです!
お忙しいと思いますが、更新して頂ける日を待っています。
コメントありがとうございます。学年トップおめでとうございます!この調子なら国試も余裕だと思います!
お褒めの言葉を頂き感謝です。最近仕事に追われて更新が滞っている状態ですが,何とか時間を見つけて更新していきたいと思います。