第66回臨床検査技師国家試験(PM41~60)の解説です。
【更新履歴】
2022.1.5
・問41の解説において,尿酸のN数が誤っていたので修正。
2024.1.8
・問55の解答番号が間違っていたので修正しました。
第66回臨技国試のPM問41~60の解説です。
難易度は主観で1~10の10段階でつけています。
1:超簡単
2~3:簡単
4~5:普通
6~7:やや難問
8~9:難問
10:超難問
第66回臨技国試についてをまとめたページもありますので,まだ見ていない方はぜひそちらもご参照ください。
問題の出典:厚生労働省ホームページ 第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp200414-07b_01.pdf)
臨床化学(PM29~44)
PM 問41
解答:5
66pm40に引き続きこちらも超難問。分子式がわからなければ手も足も出ない問題です。ほぼ勘で解くしかなさそうです。
1.誤り。C5H4N4O3です。Nは4個です。
2.誤り。CH4N2Oです。Nは2個です。
3.誤り。NH3です。Nは1個です。
4.誤り。C33H36N4O6です。Nは4個です。
5.正しい。C4H7N3Oです。Nは3個です。
PM 問42
解答:5
前回(65回)は水溶性ビタミンについての出題でしたが,今回は欠乏症についての問題が出題されました。もちろん前回の表で勉強していれば問題なく正解できます。
1・4.誤り。欠乏症が逆です。
2・3.誤り。欠乏症が逆です。
5.正しい。
PM 問43
解答:5
1.誤り。感染症や炎症で増加します。
2・4.誤り。どちらも敗血症のマーカーです。
3.誤り。Gram陰性菌が原因となる敗血症のマーカーです。
5.正しい。深在性真菌症のマーカーです。細菌感染では上昇しません。
PM 問44
解答:1・3
BSP(bromsulphalein)試験とICG(indocyanine green)試験はともに肝異物排泄機能検査(肝解毒機能検査)として用いられます。
また,アンモニアは人体に非常に有害で,肝臓によって尿素に代謝されることから,アンモニア値を測定することで肝機能(肝解毒機能)を評価できます。
1.正しい。
2.誤り。
3.正しい。
4.誤り。
5.誤り。肝機能の低下により,凝固因子の産生が低下しPTが延長しますが,解毒機能とは直接関係ありません。
病理組織細胞学(PM45~58)
PM 問45
解答:2
術中迅速組織標本というのがヒントなのですが,なかなか難しい問題です。
画像では核の部分が一部抜けているのがわかります。これは氷晶(組織の水分が氷の結晶となったもの)が原因です。
氷晶は緩徐な凍結が原因となりますので,答えは2となります。
1・3~5.誤り。
2.正しい。
PM 問46
解答:1
過去でも3回(53pm88・54am56・60pm54)出題されており,対策さえしていれば確実に正解できる問題です。
1.含まれない。グリセリンを使うのはCarazziのhematoxylin液です。
2~5.含まれる。
PM 問47
解答:2
線毛があることから,答えは2となります。
腺癌であれば,核小体が明瞭となり,N/Cも大きくなります。
1・3~5.誤り。
2.正しい。
PM 問48
解答:3
過去にも同様の問題および類似問題が出題されており(53pm84・59pm50・61pm50),対策していればこちらも容易に正解できます。
画像にはLangerhans島が写っており,膵臓が最も考えられます。
1・2・4・5.誤り。
3.正しい。
PM 問49
解答:5
難問。しっかり勉強していないと難しいです。
1・4.誤り。早期であっても侵襲や転移を起こすことがあります。
2.誤り。陥凹病変はあります。
3.誤り。粘膜下層までの浸潤を早期胃癌と定義します。
5.正しい。
PM 問50
解答:2
65am49で細胞診の出やすい細胞像についてはまとめてあります。
画像では角化した異常扁平上皮細胞(オレンジ色で形態異常・N/C比↑)=扁平上皮癌が出現しているため2が正解です。
PM 問51
解答:3
良性腫瘍と悪性腫瘍についてもたまに出るので,表で覚えておきたいところ。
1・2・4・5.誤り。
3.正しい。
PM 問52
解答:5
65pm55でも類似問題が出題されており,対策しておけば簡単な問題です。
1.誤り。酸性粘液多糖類や酸性粘液の染色法です。
2.誤り。3価鉄の染色法です。
3.誤り。石灰化物質の染色法です。
4.誤り。多糖類の染色法です。
5.正しい。中性脂肪を赤色に染色します。
PM 問53
解答:5
やや難しい問題。
1.誤り。疎水性です。
2.誤り。硬パラフィンを用います。
3.誤り。
4.誤り。融点は54~60℃です。
5.正しい。メタノールの方が組織浸透性が高いですが,脱脂効果はエタノールの方が上です。
PM 問54
解答:2
こちらも難問。正解できなくても問題ありません・・・が,ホルマリンについては知っておいたほうがいいです。
1.誤り。特定第2類です。
2.正しい。
3~5.誤り。
PM 問55
解答:3
66回は固定・脱灰の問題が結構難しいですね。
1.誤り。減弱します。
2.誤り。炭酸ガスが発生するため,容器のふたはあけておきます。
3.正しい。1~2回交換します。
4.誤り。濃度は交換前と同じにします。
5.誤り。体積の100倍以上を用います。
PM 問56
解答:3
肉芽腫の形成=肉芽腫性炎。
これさえわかっていれば,後は肉芽腫性炎の代表疾患を覚えておけば簡単に正解できます。
肉芽腫性炎は65pm56で解説しています。
1・2・4・5.誤り。
3.正しい。
PM 問57
解答:4
52pm38および58am58のプール問題です。過去問対策は抜かりのないように。
1~3・5.誤り。
4.正しい。
PM 問58
解答:3
免疫組織化学染色(マーカー)についてはこちらの記事でまとめてあります。
2年に1問程度出題されているので必ず対策しておきたいところです。
1.誤り。ERは乳癌です。
2.誤り。AFPは肝細胞癌や卵黄嚢腫瘍です。
3.正しい。
4.誤り。PSAは前立腺癌です。
5.誤り。CEAは腺癌全般です。
臨床血液学(PM59~67)
PM 問59
解答:2
65am63の類似問題。しっかり対策していればこの問題も楽に正解できますね。過去問対策の重要性がよくわかる問題です。
1・3~5.誤り。
2.正しい。
PM 問60
解答:2・3 or 1・2 or 1・3
自動血球計数装置では,Hbはシアンメトヘモグロビン法や非シアン法などで測定します。
また,Htは直接計測せずに,赤血球数とMCVをヒストグラムで測定し,MCVを求める計算式から求めます。
よって,実測している項目は2と3になります。
赤血球恒数(MCV・MCH・MCHC)の計算式は65pm66で解説してありますので,わからなかったという人は再度復習しておきましょう。
1.正しい。Htを直接測定する計数装置もあるようです。
2・3.正しい。
4・5.誤り。
他の問題の解説を見る
コメント
いつもお世話になっています。
脱灰について正しいのはどれか。(難易度:7/10)
の答えが3のはずのところが、1になっています。
朝からさん
コメントありがとうございます。該当箇所を修正しました。
いつもとても参考にさせていただいています!
PM 問41 の解説内で尿酸がN1個と書かれていたのでコメント失礼させていただきましたm(_ _)m
ご指摘ありがとうございます!
該当箇所を修正しました。これからもよろしくお願いします。
先日の国家試験を受けてきました。イリュクリジンVを使って腸内細菌科の問題解けました!腸内細菌科、染色法などが特にわかりやすく助かりました。一緒に勉強した仲間たちとおるてぃさんのおかげで合格できそうです。お忙しいとは思いますが、投稿頑張ってください!
※コメントが二重に届いていたので,片方は削除しておきました。
コメントありがとうございます。
合格点到達おめでとうございます!お役に立てて本当に良かったです。
応援していただきありがとうございます。励みになります!なかなか時間が取れないのですが,これからも少しずつ更新頑張っていこうと思います。
第67回国家試験を受けました。
染色法や微生物など、非常に勉強になりました。ありがとうございました。
国家試験お疲れ様でした。
お役に立てて良かったです!拙い解説ではありますが,それでも勉強になったというコメントを頂けるとこちらも非常にうれしいです。
これからも大変だとは思いますが,頑張ってください!
いつも参考にさせてもらってます!
おるてぃさんのおかげでわからないところを理解して覚えることができました✨
特に医用工学は大変助かりました!
明後日、国試ですががんばります
ありがとうございました
コメントありがとうございます!先日国家試験だったみたいですね。国家試験お疲れ様でした。
なかなか覚えることがあって大変だったとは思いますが,取り敢えず試験終了ということでゆっくり休んでいただければと思います。
お役に立てて本当に良かったです。これからも大変だとは思いますが,頑張ってください!
PM51の問題の解答の記述がズレてます!
該当問題を修正しました。ご指摘ありがとうございます。
こんばんは、いつもお疲れ様です。67回の国家試験を受験した者です。国試の勉強を始めようと思った秋ごろから、おるてぃさんの解説をたくさん参考にさせていただきました。とても見やすくまとまった解説で大変助かりました!!難易度なども載っていて、モチベーションにも繋がりました。おかげさまで合格できそうです。本当にありがとうございました!
コメントありがとうございます。
合格点到達おめでとうございます!お役に立てて本当に良かったです。
国試の勉強法はやはり過去問を対策してその傾向をつかむのが早くて確実ということを経験的に知っていたので,このブログでもよく出る問題にはそれに対応できるような解説を,
逆に解けなくていいような問題は難易度を上げて,優先度低めでOKと解説してきました。(全部勉強するのは本当に大変なので・・・)
今回,その解説が役に立ったと多くの方からコメントを頂き,とても需要があったんだと改めて実感しました。今も結構忙しいのですが,少しずつ更新を頑張っていこうと思います。
長くなりましたが,本当におめでとうございます!
毎日参考に勉強させていただいてます!
毎年の臨床検査技師国家試験の受験者数は4000人ほどですが、このサイトの利用者はどのくらいになるんですか?
一緒に勉強している人がどれぐらいいるか知りたいです!
こんさん,コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまい申し訳ありません。
google analyticsの解析によりますと,1日当たり400~600人の方々がサイトを利用なさっているようです。(本当に感謝です!)
大体受験生の1割といったところでしょうか。ご参考になれば幸いです。
p.s. 本日ようやく67回の総評を公開しました。こちらもぜひご覧ください!これからも勉強頑張ってください!
更新ありがとうございます
おるてぃさんのおかげで勉強が捗っています
まとめの表などがとても見やすく、お気に入りのサイトです!
コメントありがとうございます。そう言っていただけると本当に励みになります!
なかなか更新できないのが本当に申し訳ないです。空いた時間に少しずつ更新していきますので,これからもよろしくお願いいたします。